「眼科の処方箋で抗生物質が出ているけれど、どれが最新の薬だっけ?」
「抗菌薬の点眼って、患者さんに何を注意して説明すればいいんだろう?」
ブランクがあると、新しい薬の知識はもちろん、基本的な服薬指導のポイントも不安になりますよね。
今回の「薬局復帰おさらい帳」【眼科編6】では、細菌性結膜炎や角膜炎などで頻繁に処方される眼科用抗菌薬に焦点を当てます。
数が多いように見えても、系統でまとめてしまえば簡単ですよ。
現場で自信を持って対応できるよう、「ニューキノロン系」を中心に、薬の使い分けと服薬指導のコツを効率的に復習しましょう。
眼科門前でよく処方される抗菌点眼薬、服薬指導のコツ
今すべてを網羅する必要はありません。
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さあ、今日から一緒に、未来の自分に自信をつけていきましょう。
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眼科用合成抗菌薬の主役:ニューキノロン系を徹底整理
眼科の細菌感染症治療で最も使用頻度が高いのは、ニューキノロン系点眼薬です。
広範囲の細菌に強い抗菌力を持ち、安全性が高いため、第一選択薬として広く使われています。
第4世代(最新・広範囲)
- ベガモックス(モキシフロキサシン)
- ガチフロ(ガチフロキサシン
1回一滴、1日3回、
手術前後の無菌化療法:手術前1日5回、手術後1日3回
第3世代(標準的)
- クラビット(レボフロキサシン)※遮光保存注意
- タリビット(オフロキサシン)点眼液、眼軟膏
- ロメフロン(ロメフロキサシン)※耳科用もあるので注意
- オゼックス、トスフロ(トスフロキサシン)
1日3回。
点眼後の刺激感や不快感が少ないと言われる。
ニューキノロン系抗菌点眼薬の指導のコツ
- 耐性菌予防の指導:
- 「症状が良くなっても、医師に言われた期間は必ず使い切るように」と指導する。
- 自己判断で中止すると、耐性菌の原因になる。
- 保管方法:
- クラビット、タリビットなど遮光が必要な製品は、ボトルのまま放置しない。
その他の抗生物質:使い分けと服薬指導の注意点
ニューキノロン系以外にも、特定の菌や症状に対して使用される抗菌薬があります。
これらは作用機序が異なるため、ニューキノロン系で効果がない場合や、小児などに使われます。
セフェム系抗生物質(主に術前・術後に使用)
- ベストロン(セフメノキシム)など。
- ニューキノロン系で効果がない場合や、眼科手術前後の感染予防(無菌化療法)に。
- 1日4回(増減)
- 溶解後冷所保存(7日以内)
アミノグリコシド系(特定の菌種に強い)
- トブラシン(トブラマイシン)など。
- 特徴: 緑膿菌など特定の細菌に対して強い効果を発揮。
- 角膜炎・角膜潰瘍(特に緑膿菌感染が疑われる場合)
- 注意点: 長期間の使用や高用量での使用は、眼局所の副作用(結膜・角膜の刺激症状など)
- 1日4~5回
- 医師の指示通りの点眼回数・期間を守る、症状が改善しても自己判断で中止しないことを、より強く指導
あまり処方を見ないのでここはサラっと読むだけで
マクロライド系(小児や非定型細菌感染に)
- アジマイシン(アジスロマイシン)など。
- マイコプラズマやクラミジアなど、非定型細菌が原因の感染症にも有効。
- 結膜炎:7歳以上1日2回2日間、その後1日1回5日間
- 点眼後、一時的に眼がかすむ。
10年前は小児科でエコリシン点眼液をよく見ましたが、販売中止になってしまったそうですね。
ステロイド配合抗菌薬
炎症がひどい場合は、抗菌成分とステロイドの配合剤が一時的に使われます。
リンデロンA(ベタメタゾンリン酸エステルNa+フラジオマイシン)
- 麦粒腫(ものもらい)や眼瞼炎など、炎症が強い感染症に。
- 眼・耳科用軟膏、点眼・点耳液
- 1日1~数回塗布、点眼
- 遮光・冷所保存
ネオメドロールEE軟膏(メチルプレドニゾロン+フラジオマイシン)
- 夜間や患部に長く留めたい場合に処方される。
- 耳鼻科でもよく処方される
- 1日1~数回塗布
配合剤の服薬指導ポイント
- 自己判断での中止・継続の禁止
- 再発や耐性菌の原因になる
- ステロイドの長期連用による緑内障や白内障のリスク。
- 必ず医師の指示を確認し、その通りに使うよう伝える。
- 塗布時の注意(軟膏の場合)
- 眼の中に塗る場合、清潔な指または綿棒で下まぶたの内側にごく少量塗る
- 塗布後は一時的に視界がかすむ→就寝前の使用を推奨する場合あり。
細菌以外が原因の場合の治療薬:抗真菌薬と抗ウイルス薬
点眼薬は細菌感染症の治療薬がメインです。
ウイルス性疾患(例:はやり目→アデノウィルス原因)などでは、特効薬があるもの以外は基本的に対症療法となります。
私のいた薬局では、あまりお目にかかることはなかったですが、一応目を通しておくといいですね。
抗真菌薬:ピマリシン(ピマリシン)
- 真菌性角膜炎など、真菌(カビ)が原因で起こる重篤な感染症の治療に。
- 土や植物など、目に異物が入った後などに感染することがある。
- 1日6~8回
- 薬液が懸濁性のため、使用直前によく振ってから点眼する
- 真菌感染症は治療に時間がかかることが多く、点眼回数も頻回。
- 根気強く点眼を継続するよう指導。
抗ヘルペスウイルス薬
- ゾビラックス(アシクロビル)眼軟膏
- 単純ヘルペスウイルスによる角膜炎などの治療に。この疾患は再発を繰り返しやすい。
- 1日5回
- 下まぶたの内側などに塗布するタイプ。
- 塗布後は一時的に視界がかすむ→車の運転などを避ける。
- 7日使用して改善なければ他治療に切り替え
抗菌薬の服薬指導:復職現場で役立つ実践スキル
- 点眼後に目やに増
- これは薬が効いていて一時的な現象。
- 自己判断で中止しないように。
- 他の点眼薬との併用
- 必ず「5分以上間隔を空けてください」と指導。
- ふつうの点眼液→懸濁性点眼液→眼軟膏が基本
- 薬剤を溶解して調剤する物に注意(ベストロン)
眼科での薬局復帰におすすめの本
面接をクリアして、眼科に復職が決まったら、専門書でさらに詳しい知識を付けましょう。
書籍を使ったおすすめの勉強法は、簡単なものから先に読んでいくことです。
読む順番は
- 一般向けの簡単なもの
- 薬剤師向けの本
- 医師向けの専門書
この順で読んでいくことで、次のように効率的に理解が進みます。
- 患者さんの不安や疑問、分かりやすい表現を知る
- 詳しい薬剤知識と服薬指導のポイントを頭に入れる
- 医師の処方意図や病院での処置について知る
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まとめ
- ニューキノロン系点眼薬が第一選択薬
- ニューキノロン系第4世代(広範囲・最新)
- ベガモックス(モキシフロキサシン)
- ガチフロ(ガチフロキサシン
- 1日3回。手術前1日5回、手術後1日3回
- ニューキノロン系第3世代
- クラビット(レボフロキサシン)※遮光保存注意
- タリビット(オフロキサシン)点眼液、眼軟膏
- ロメフロン(ロメフロキサシン)※耳科用もあるので注意
- オゼックス、トスフロ(トスフロキサシン)
- 1日3回。点眼後の刺激感や不快感が少ないと言われる。
- セフェム系抗生物質(主に術前・術後に使用)
- ベストロン(セフメノキシム)など。
- ニューキノロン系で効果がない場合や、眼科手術前後の感染予防(無菌化療法)に。
- 1日4回(増減)。溶解後冷所保存(7日以内)
- アミノグリコシド系:トブラシン(トブラマイシン)
- 緑膿菌感染が疑われる角膜炎・角膜潰瘍
- 1日4~5回
- 長期間の使用や高用量での使用は、眼局所の副作用(結膜・角膜の刺激症状など)
- マクロライド系(小児や非定型細菌感染に)
- アジマイシン(アジスロマイシン)
- マイコプラズマやクラミジアに
- 結膜炎:7歳以上1日2回2日間、その後1日1回5日間
- 点眼後、一時的に眼がかすむ。
- ステロイド配合抗菌薬
- リンデロンA(ベタメタゾンリン酸エステルNa+フラジオマイシン)
- 眼・耳科用軟膏、点眼・点耳液があるので注意
- 1日1~数回塗布、点眼
- 遮光・冷所保存
- ネオメドロールEE軟膏(メチルプレドニゾロン+フラジオマイシン)
- 1日1~数回塗布
- リンデロンA(ベタメタゾンリン酸エステルNa+フラジオマイシン)
- 抗真菌薬:ピマリシン(ピマリシン)
- 土や植物など、目に異物が入った後などに感染することがある。
- 1日6~8回。使用直前によく振る。
- 抗ヘルペスウイルス薬:ゾビラックス(アシクロビル)眼軟膏
- 単純ヘルペスウイルスによる角膜炎。再発しやすい。
- 1日5回
- 塗布後は一時的に視界がかすむ→車の運転などを避ける。
- 7日使用して改善なければ他治療に切り替え
- 他の点眼薬との併用に注意
- 必ず「5分以上間隔を空けてください」と指導。
- ふつうの点眼液→懸濁性点眼液→眼軟膏が基本
- 薬剤を溶解して調剤する物(ベストロン)や、規格の違い、保存方法に注意
いかがでしたか?
何度も読んで頭に入れれば、眼科門前の薬局だけでなくドラッグストアでも即効で役立ちます。
次回は「眼科編7その他の薬剤とはやり目について」を復習します。
一緒に現場復帰を目指して頑張りましょう!