「もう一度、薬剤師として働きたい」
そう思っていても、10年という長いブランクを前に、なかなか最初の一歩が踏み出せないでいるママ薬剤師さんへ。
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「経験ないし眼科の処方箋って難しそう…」
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【眼科編】では、現場でよく出る薬と服薬指導のコツに絞って解説します。
- よく処方される薬の種類と代表的薬剤
- 患者数の多い眼科疾患10位まで
- 10位の疾患での処方される薬など
今すべてを網羅する必要はありません。
効率的に知識を学び、自信を持って面接や復職に臨みましょう!
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前回の記事はこちら
復習を始める前に!最短で復帰するための行動プラン
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- 一般向けの本
- 薬剤師向けの本
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目の薬ってこんなにたくさん!薬効分類と種類をざっくり理解する
まずは「どんな薬があるのか」をざっくりと思い出して、復習のハードルを下げましょう。
眼科でよく使われる薬は、大きく分けていくつかの種類に分類できます。
まずはサラっと!「この薬は、このグループに入るんだな」という感覚を掴むだけでOKです。
- 感染症治療薬:
目の細菌やウイルス感染を治療します。
代表的なのは抗菌薬や抗ウイルス薬。- 抗菌薬の例
クラビット(レボフロキサシン)
ガチフロ(ガチフロキサシン)
タリビッド(オフロキサシン)
ベストロン(セフメノキシム) - 抗ウイルス薬の例
ゾビラックス眼軟膏(アシクロビル)
- 抗菌薬の例
- 抗炎症薬:
目のかゆみや赤み、腫れといった炎症を抑えます。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や、より強力なステロイド点眼薬。- NSAIDsの例
ブロナック(ブロムフェナク)
ネバナック(ネパフェナク)
ニフラン(プラノプロフェン) - ステロイドの例
フルメトロン(フルオロメトロン)
サンテゾーン(デキサメタゾン)
リンデロン(ベタメタゾン)
- NSAIDsの例
- 緑内障治療薬:
眼圧を下げることで、視野狭窄の進行を防ぎます。
房水の排出を促したり、産生を抑えたりする薬があります。- プロスタグランジン関連薬の例
キサラタン(ラタノプロスト)
タプロス(タフルプロスト)
ルミガン(ビマトプロスト) - β(ベータ)遮断薬
チモプトール(チモロール)
ミケラン(カルテオロール) - 炭酸脱水酵素阻害薬
トルソプト(ドルゾラミド)
エイゾプト(ブリンゾラミド) - 合剤
ザラカム(ラタノプロスト + チモロール)
ミケルナ(ラタノプロスト + カルテオロール)
コソプト(ドルゾラミド + チモロール)
- プロスタグランジン関連薬の例
- アレルギー治療薬:
花粉症など、アレルギーによる目のかゆみや充血を抑えます。
抗ヒスタミン薬やケミカルメディエーター遊離抑制薬が中心です。- アレジオン点眼液(エピナスチン塩酸塩)
パタノール点眼液(オロパタジン塩酸塩)
ザジテン点眼液(ケトチフェンフマル酸塩)
- アレジオン点眼液(エピナスチン塩酸塩)
- ドライアイ治療薬:
涙の量を増やしたり、涙の質を改善したりして、目の乾燥を防ぎます。
人工涙液や、涙の安定化を促す薬があります。- ヒアレイン点眼液(ヒアルロン酸ナトリウム)
ムコスタ点眼液(レバミピド)
ジクアス点眼液(ジクアホソルナトリウム)
- ヒアレイン点眼液(ヒアルロン酸ナトリウム)
- 白内障治療薬:
水晶体の混濁を遅らせます。
進行を遅らせる目的で使われます。
手術前後には抗菌剤、消炎鎮痛剤なども使われる。- ピレノキシン剤
カタリンk、カタリン
ピレノキシン懸濁性点眼液 0.005%「参天」(旧名カリーユニ)
- ピレノキシン剤
- その他、院内などで特定の目的で使われる薬
散瞳薬:ミドリンP点眼液(トロピカミド・フェニレフリン塩酸塩)など
縮瞳薬:サンピロ点眼液(ピロカルピン塩酸塩)など
調節機能改善薬:ミドリンM点眼液(トロピカミド)など
これだけは押さえておきたい!眼科疾患トップ10と薬の概要
まずは、眼科でよく処方される疾患をランキング形式で見てみましょう。
これらの疾患をピンポイントで復習すれば、面接や復職後も慌てることなく対応できるはずです。
【知っておきたい!眼科疾患患者数トップ10】
(※順位は概算&個人的な印象から)
- 白内障
- 緑内障
- アレルギー性結膜炎
- ドライアイ
- 感染性結膜炎
- 麦粒腫(ものもらい)
- 糖尿病性網膜症
- 加齢黄斑変性症
- ぶどう膜炎
- 角膜炎
それでは、ランキングの疾患について、病態と使われる薬を簡単に復習しましょう。
今はサっと目を通すだけでOKです。
この段階では、処方される薬の種類や用法を病気ごとに覚えるつもりで、ざっくりと頭に入れましょう。
各疾患の概要
ここでは、各疾患を簡単に理解していきます。
病態や使われる薬について、ざっと頭に入れましょう。
白内障
病態・治療方針
水晶体が主に加齢により濁り、視力低下やかすみが生じる。
初期には進行抑制の点眼薬が使われる。
根本的な治療は、濁った水晶体を人工の眼内レンズに交換する手術。
主な薬剤と用法
進行抑制薬(カリーユニ、カタリンKなど):1日3~5回点眼。
術前・術後薬(抗菌薬・ステロイド薬・消炎鎮痛薬):1日3~4回点眼。
緑内障
病態・治療方針
視神経が障害され、視野が徐々に欠けていく疾患。
多くは眼圧の上昇が原因だが、正常眼圧緑内障も多い。
治療は、点眼薬により眼圧を下げ、視野の進行を抑制することが目標。
目標眼圧に達しない場合はレーザーや手術が検討される。
主な薬剤と用法
- プロスタグランジン製剤(タプロス、キサラタン、トラバタン、ルミガンなど):1日1回(通常は就寝前)
- β遮断薬(チモプトール、ミケランなど):1日1~2回点眼。
- EP2受容体作動薬(エイベリス)
- α2作動薬(アイファガン)
- 炭酸脱水素酵素阻害薬(トルソプト、エイゾプト)
アレルギー性結膜炎
病態・治療方針
アレルゲンへの過剰な免疫反応で結膜に炎症が起こり、かゆみや充血を生じる。
治療はアレルゲン回避が基本。
薬物療法では炎症を抑え、アレルギー反応をブロックします。
重症例ではステロイドや免疫抑制薬が短期間使用される。
主な薬剤と用法
- 抗ヒスタミン薬・ケミカルメディエーター遊離抑制薬(パタノール、アレジオンなど):1日2~4回点眼
- ステロイド薬(フルメトロンなど):症状が強い場合に1日2~4回点眼(短期集中)。
ドライアイ
病態・治療方針
涙の量や質が低下し、目の表面が乾燥・損傷する疾患。
異物感や目の疲れを生じる。
治療は、不足した涙の補充、涙の質改善、角膜保護、および涙の蒸発を防ぐことが目的。
主な薬剤と用法
- 人工涙液(ヒアレインなど):1日5~6回点眼。
- ムチン・水分促進薬(ジクアス、ムコスタなど):1日4~6回点眼。
感染性結膜炎
病態・治療方針
細菌やウイルス感染により結膜に炎症が起こり、目やにや充血が生じる。
治療は、細菌性なら抗菌薬、
ウイルス性なら対症療法(炎症抑制と二次感染予防)が中心。
主な薬剤と用法
- 抗菌薬(クラビット、ガチフロなど):1日3~5回点眼し、症状に応じて5~7日間継続。
- ウイルス性(特効薬なし)
- ステロイド(※ヘルペス性角膜炎ではないことを確認してから)
- 抗菌薬(二次感染予防)
麦粒腫(ものもらい)
病態・治療方針
まぶたの汗腺や脂腺に細菌が感染し、化膿して腫れる病気。
治療は細菌を抑える抗菌薬の点眼や内服が中心です。
炎症が強い場合は消炎剤を併用します。
化膿が進んだ場合は切開排膿することもあります。
主な薬剤と用法
- 抗菌薬点眼(タリビッド、クラビットなど):1日3~5回点眼。
- 抗菌薬内服(フロモックスなど):1日2~3回(5日程度)。
糖尿病性網膜症
病態・治療方針
糖尿病により網膜の血管が損傷し、出血や浮腫、新生血管が発生し、視力低下を引き起こす疾患。
治療の基本は血糖コントロールです。
進行度に応じて、レーザー治療、硝子体注射(抗VEGF薬)、または手術が行われる。
主な薬剤と用法
硝子体注射(ルセンティス、アイリーアなど):新生血管の成長を抑え、浮腫を改善する。
初回は月1回、その後は症状に応じて投与(点眼薬ではない)。
血管強化薬(カルバゾクロム(アドナなど)):あくまでも補助的に。1日30mg~90mgを分3
加齢黄斑変性症
病態・治療方針
加齢により網膜の中心部(黄斑)に障害が起こり、物が歪んで見えたり、視力が低下したりする疾患。
治療は、新生血管の成長を抑える硝子体注射(抗VEGF薬)が主流。
光線力学療法(PDT)が併用されることもあり。
主な薬剤と用法
- 硝子体注射(ルセンティス、アイリーアなど):初回は月1回、その後は症状に応じて投与(点眼薬でははない)。
ぶどう膜炎
病態・治療方針
虹彩、毛様体、脈絡膜からなるぶどう膜に炎症が起こる病気。
視力低下や充血、まぶしさを伴う。
治療は炎症を強力に抑えることが目的で、ステロイド薬を主体とする。
原因によっては、抗菌薬や免疫抑制薬を併用。
主な薬剤と用法
- ステロイド薬(リンデロン、フルメトロンなど):症状に応じて1日4~8回点眼。
- 散瞳薬(ミドリンPなど):1日1~3回点眼(炎症の治療・癒着予防)。
角膜炎
病態・治療方針
角膜(黒目)に炎症が起こり、強い痛みや充血、視力低下が生じる。
細菌性なら抗菌薬、ヘルペスなどのウイルス性なら抗ウイルス薬を強力に使用し、角膜の損傷を防ぐ。主な薬剤と用法
- 細菌性: 抗菌薬(クラビット、ガチフロなど):1日3~5回点眼。
- ウイルス性: 抗ウイルス薬(ゾビラックス眼軟膏など):1日5回塗布。
眼科編第1回のまとめ
今回の復習はこちらです。
まずは眼科の薬の種類↓
- 感染症治療薬:
目の細菌やウイルス感染を治療します。
代表的なのは抗菌薬や抗ウイルス薬。- 抗菌薬の例
クラビット(レボフロキサシン)
ガチフロ(ガチフロキサシン)
タリビッド(オフロキサシン)
ベストロン(セフメノキシム) - 抗ウイルス薬の例
ゾビラックス眼軟膏(アシクロビル)
- 抗菌薬の例
- 抗炎症薬:
目のかゆみや赤み、腫れといった炎症を抑えます。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や、より強力なステロイド点眼薬。- NSAIDsの例
ブロナック(ブロムフェナク)
ネバナック(ネパフェナク)
ニフラン(プラノプロフェン) - ステロイドの例
フルメトロン(フルオロメトロン)
サンテゾーン(デキサメタゾン)
リンデロン(ベタメタゾン)
- NSAIDsの例
- 緑内障治療薬:
眼圧を下げることで、視野狭窄の進行を防ぎます。
房水の排出を促したり、産生を抑えたりする薬があります。- プロスタグランジン関連薬の例
キサラタン(ラタノプロスト)
タプロス(タフルプロスト)
ルミガン(ビマトプロスト) - β(ベータ)遮断薬
チモプトール(チモロール)
ミケラン(カルテオロール) - 炭酸脱水酵素阻害薬
トルソプト(ドルゾラミド)
エイゾプト(ブリンゾラミド) - 合剤
ザラカム(ラタノプロスト + チモロール)
ミケルナ(ラタノプロスト + カルテオロール)
コソプト(ドルゾラミド + チモロール)
- プロスタグランジン関連薬の例
- アレルギー治療薬:
花粉症など、アレルギーによる目のかゆみや充血を抑えます。
抗ヒスタミン薬やケミカルメディエーター遊離抑制薬が中心です。- アレジオン点眼液(エピナスチン塩酸塩)
パタノール点眼液(オロパタジン塩酸塩)
ザジテン点眼液(ケトチフェンフマル酸塩)
- アレジオン点眼液(エピナスチン塩酸塩)
- ドライアイ治療薬:
涙の量を増やしたり、涙の質を改善したりして、目の乾燥を防ぎます。
人工涙液や、涙の安定化を促す薬があります。- ヒアレイン点眼液(ヒアルロン酸ナトリウム)
ムコスタ点眼液(レバミピド)
ジクアス点眼液(ジクアホソルナトリウム)
- ヒアレイン点眼液(ヒアルロン酸ナトリウム)
- 白内障治療薬:
水晶体の混濁を遅らせます。
進行を遅らせる目的で使われます。
手術前後には抗菌剤、消炎鎮痛剤なども使われる。- ピレノキシン剤
カタリンk、カタリン
ピレノキシン懸濁性点眼液 0.005%「参天」(旧名カリーユニ)
- ピレノキシン剤
- その他、院内などで特定の目的で使われる薬
散瞳薬:ミドリンP点眼液(トロピカミド・フェニレフリン塩酸塩)など
縮瞳薬:サンピロ点眼液(ピロカルピン塩酸塩)など
調節機能改善薬:ミドリンM点眼液(トロピカミド)など
- 白内障
- 水晶体の混濁による視力低下。進行すれば手術で眼内レンズに交換する。
- 進行抑制点眼薬(初期)。術前後に抗菌薬、ステロイド薬。
- 緑内障
- 視神経障害で視野が欠ける。眼圧を目標値まで下げ、進行を抑制する。
- 眼圧降下薬(プロスタグランジン製剤、β遮断薬など)。
- アレルギー性結膜炎
- アレルゲンによる炎症。アレルゲン回避と炎症・かゆみを抑える。
- 抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエーター遊離抑制薬。重症時はステロイド薬。
- ドライアイ
- 涙の量や質の低下。涙の補充、分泌促進、角膜の保護を行う。
- 人工涙液、ムチン・水分促進薬、ヒアルロン酸製剤。
- 感染性結膜炎
- 細菌やウイルスによる炎症。原因に応じ、菌を抑えたり炎症を鎮める。
- 細菌性:抗菌薬。
ウイルス性:対症療法(ステロイド薬)※ヘルペス性角膜炎ではないことを確認。
- 麦粒腫(ものもらい)
- まぶたの腺の細菌感染による化膿。菌を抑え、炎症が強ければ切開。
- 抗菌薬(点眼・内服)。消炎剤(内服)。
- 糖尿病性網膜症
- 糖尿病で網膜の血管が損傷。血糖管理と、病変の進行を抑える治療。
- 進行度に応じ、抗VEGF薬(硝子体注射)、レーザー。補助的に血管強化剤
- 加齢黄斑変性症
- 黄斑の異常(新生血管)で視力低下。新生血管の増殖を抑える。
- 抗VEGF薬(硝子体注射)。光線力学療法。
- ぶどう膜炎
- ぶどう膜の炎症。原因特定に努め、炎症を強力に鎮める。
- ステロイド薬(点眼・内服)。散瞳薬。原因に応じ抗菌薬。
- 角膜炎
- 角膜の炎症。原因に応じた薬剤で菌やウイルスを排除し、角膜を保護。
- 細菌性:抗菌薬。ウイルス性:抗ウイルス薬。ステロイド薬。
いかがでしたか?
まずは、ざっくりと頭に入れるだけで大丈夫です。
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「あ~懐かしいね、この薬」
「聞いたことない。新しい薬かな?」
そうです!そんな感じで、ざっくりと頭に入ればオーケーです。
次回の【眼科編2】は「緑内障」を復習します。






