「もう一度、薬剤師として働きたい」
そう思っていても、10年という長いブランクを前に、なかなか最初の一歩が踏み出せないでいるママ薬剤師さんへ。
「近所の薬局で働きたいけど、眼科の処方をうけてるみたい…」
「経験ないし眼科の処方箋って難しそう…」
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【眼科編】では、現場でよく出る薬と服薬指導のコツに絞って解説します。
白内障について病態や処方薬、服薬指導のコツ
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白内障の病態と治療指針
かなり患者さんが多いので、おさえておきましょう。
私は先日眼鏡を作りに眼科に行ったら、「白内障のせいで視力がおちてる」と言われました。
まだ40前半なのに!と悲しみつつ…せっかくなので自分事として復習します。
復習する際は、「自分や家族が患者になったら」と想像して勉強すると、頭に入りやすいですね。
病態:
目のレンズの役割を果たす「水晶体」が白く濁り、視力が低下する病気。
加齢とともに発症する場合がほとんど。
早ければ40代から、80代になるとほぼすべての人がかかると言われている。
近視が強いと進行が速いらしいです。悲しい…
治療
初期段階では点眼薬、日常生活に不自由を感じるようになると手術が検討されます。
私(40前半強度近視、眼鏡でも0.8以上は視力出せず)は緊急性がないとのことで、特に何も処方されず経過観察でした。
手術
濁った水晶体を超音波で削り、その場所に眼内レンズを挿入する手術です。
レンズには、保険適応の単焦点レンズ・自費の多焦点レンズ、があります。
現在では、持病等の特別な事情がなければ日帰り手術が一般的です。
麻酔により痛みもなく、手術自体は10分から20分で終了します。
保険適用(単焦点レンズ)・日帰り手術なら
費用は、片目で
1割負担:約15,000~20,000円程
3割負担:約45,000~60,000円程度
単焦点レンズだと、ピントが合う距離は一定です。
術後1~3か月後に視力は安定し、新たな眼鏡などを作成するのが一般的です。
手術前の処方薬
手術前には、手術の数日前から、感染予防のため抗菌点眼薬や眼軟膏が使用されます。
手術前処方の一例
- ベストロン点眼用0.5%(セフメノキシム→第3世代セファロスポリン系)
1日4回(朝・昼・夜・寝る前)
※薬の粉末バイアルと溶解液が別になっている。
※溶解後は冷蔵で7日以内に使い切る。 - クラビット点眼液(レボフロキサシン水和物→ニューキノロン系第3世代)
1日4回(朝・昼・夜・寝る前)※一日3回のことも
※0.5%(ピンクの蓋)、1.5%(赤の蓋)があるので注意
※遮光袋に入れて保管 - タリビット眼軟膏0.3%(オフロキサシン)
寝る前1回
※点眼液の一番最後に!
※鏡を見て、チューブの先が目や瞼に触れないように1cmほど薬を押し出す
→目を閉じ、薬がなじむまで1〜2分ほど待つ
清潔な綿棒を使ってもOK
点眼剤は、錠剤や粉末を溶かしてから使用する物・使用前に毎回振る必要があるもの、などがあります。
調剤時は濃度などの規格とともに、この点にも注意してくださいね。
ベストロン溶解手順はこちらで勉強させてもらいました↓
眼軟膏の使い方はこちらで勉強しました↓

手術後に処方される薬(点眼)
手術後には手術翌日から、感染予防と炎症を抑える目的で、抗菌薬・ステロイド薬・NSAIDsの点眼剤が使われます。
- 抗菌剤
- ベガモックス点眼液0.5%(モキシフロキサシン塩酸塩・第四世代フルオロキノロン 剤)
1日3〜4回 - 他、ガチフロ点眼液0.3%(ガチフロキサシン)、クラビット点眼液0.5%(レボフロキサシン)
- ベガモックス点眼液0.5%(モキシフロキサシン塩酸塩・第四世代フルオロキノロン 剤)
- ステロイド
- リンデロン点眼液0.01%(ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム)
※耳鼻科でも使われる0.1%や、抗菌剤配合のリンデロンAもあるので注意
1日3〜4回 - 他、フルメトロン点眼液0.1%(フルオロメトロン水性懸濁点眼剤)
※0.02%もあるので注意
※使用前良く振るので注意 など
- リンデロン点眼液0.01%(ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム)
- NSAIDs
- ネバナック懸濁性点眼液0.1%(ネパフェナク)
毎回よく振り、1回1滴、1日3回点眼。 - 他、ブロナック点眼液0.1%(ブロムフェナクナトリウム)など
- ネバナック懸濁性点眼液0.1%(ネパフェナク)
最低3か月ほど続ける。
経過によって、回数や点眼剤の濃度は調節されることがある。
手術後に処方される薬(内服)
最近の手術は傷が小さく、術後の感染リスクがかなり低下しているため、内服薬の処方されるケースは少なくなっているようです。
病院や患者さんによっては、抗菌剤、消炎鎮痛剤、胃薬などの内服薬が処方されます。
- 抗菌剤
- フロモックス(セフカペンピボキシル塩酸塩錠)
- セフゾンカプセル
- バナンセフポドキシムプロキセチル錠(セフポドキシムプロキセチル錠)
- 1日2〜3回、食後に服用。術後3〜5日間で飲み切り等。
- 消炎鎮痛剤
- ロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム)
- カロナール(アセトアミノフェン)
- ポンタールカプセル
- 痛みがひどいときに頓服。1日3回まで、6時間以上間隔を空けて服用など。
- 胃薬: 胃粘膜保護剤(ムコスタなど)
- 眼圧降下薬: 降圧利尿薬(ダイアモックスなど)
患者さんによっては、手術後に一時的に眼圧が上昇することがあるため
白内障初期によく処方される薬
白内障の初期段階では、症状の進行を遅らせる点眼薬が処方されることがあります。
濁った水晶体を元に戻す効果はないので注意です。
個人的には、自覚症状がかなりある段階で、手術が近くない患者さんに処方されるような印象です。
一般名:ピレノキシン
先発→カタリンk 0.005%(顆粒を用時溶解)、カタリン(錠剤を用時溶解)
後発→ピレノキシン懸濁性点眼液 0.005%「参天」(旧名カリーユニ)(溶解済み) 他
- ジェネリックでも添付の溶解液に顆粒または錠剤を溶かして使用するタイプと、溶解済みの商品があるので注意
- 作用機序: 白内障の原因の一つとされる「キノイド物質」が、水晶体のタンパク質と結合するのを妨げることで、水晶体の混濁を防ぎ、進行を抑制する効果が期待されている。
- 用法・用量:
添付の溶解液に顆粒または錠剤を溶かして使用するタイプと溶解済みタイプがある。
1回1~2滴を、1日3~5回点眼 - 溶解後は、冷所(冷蔵庫など)に遮光保存し、3週間以内に使い切る。
- 点眼する際には、容器の先端が直接目に触れないように注意。
- 他の点眼薬と併用する場合は、少なくとも5分以上の間隔を空けて点眼
- 副作用: まれに、眼の刺激感やかゆみ、充血などの副作用あり。
症状が現れた場合は、速やかに医師に相談する。
一般名:グルタチオン
商品名:タチオン点眼用2%
こちら現在、販売中止中です。
終売品、と記載されているところもあったので、以下念のためで参考にしてください。
- 作用機序:
水晶体には元々、抗酸化作用を持つグルタチオンという成分が存在し、水晶体を酸化ストレスから保護している。
白内障が進行すると、このグルタチオンが減少する。
この不足分を補うことで、水晶体の透明性を保ち、白内障の進行を抑制する効果が期待されてる。 - 用法・用量:こちらも1回1~2滴を、1日3~5回点眼する。
- 併用:添付文書上、他の薬との明確な相互作用は報告されていない
- 点眼薬を併用する場合は、5分以上の間隔を空ける。
- 副作用: まれに、眼の刺激感やかゆみ、充血などの副作用あり。
症状が現れた場合は、速やかに医師に相談する。
眼科での薬局復帰におすすめの本
面接をクリアして、眼科に復職が決まったら、専門書でさらに詳しい知識を付けましょう。
書籍を使ったおすすめの勉強法は、簡単なものから先に読んでいくことです。
読む順番は
- 一般向けの簡単なもの
- 薬剤師向けの本
- 医師向けの専門書
この順で読んでいくことで、次のように効率的に理解が進みます。
- 患者さんの不安や疑問、分かりやすい表現を知る
- 詳しい薬剤知識と服薬指導のポイントを頭に入れる
- 医師の処方意図や病院での処置について知る
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まとめ
- 病態:
- 水晶体が白濁し、視力が低下する。
- ほとんどが加齢とともに発症。早ければ40代から
- 治療:
- 初期段階は点眼薬や経過観察
- 日常生活に不自由を感じるようになると手術。
- 手術:
- 濁った水晶体を超音波で削り、眼内レンズを挿入する。
- 保険適応の単焦点レンズ・自費の多焦点レンズ、があり。
- 日帰り手術が一般的。10分から20分で終了する。
- 保険適用(単焦点レンズ)・日帰り手術なら片目15000~60000円程
- 術後1~3か月後に視力は安定する
- 手術前:抗菌点眼薬・眼軟膏
- 例:
- ベストロン点眼用0.5%(セフメノキシム)1日4回
- クラビット点眼液(レボフロキサシン)1日4回
- タリビット眼軟膏0.3%(オフロキサシン)寝る前1回
- 例:
- 手術後:抗菌薬・ステロイド薬・NSAIDsの点眼剤、補助的に内服薬(抗菌剤・消炎鎮痛剤他))
- 例:
- ベガモックス点眼液0.5%(モキシフロキサシン)1日3〜4回
- 他ガチフロ点眼液0.3%(ガチフロキサシン)、クラビットなど
- リンデロン点眼液0.01%(ベタメタゾン)1日3〜4回
- 他、フルメトロン点眼液0.1%(フルオロメトロン水性懸濁点眼剤)など
- ネバナック懸濁性点眼液0.1%(ネパフェナク)1日3回
- 他、ブロナック点眼液0.1%(ブロムフェナクナトリウム)など
- 内服薬
- 抗菌剤(フロモックス、セフゾン、バナン等 数日のみきり)
- 消炎鎮痛剤(ロキソニン、カロナール、ポンタール等)
- 胃薬(ムコスタなど)
- 眼圧降下薬(ダイアモックスなど)
- ベガモックス点眼液0.5%(モキシフロキサシン)1日3〜4回
- 例:
- 初期:白内障の進行抑制
- カタリン、カタリンK、ピレノキシン(ピレノキシン)
- 添付の溶解液に顆粒または錠剤を溶かして使用するタイプと、溶解済みの商品があるので注意
- 作用機序: 「キノイド物質」が、水晶体のタンパク質と結合するのを妨げる
- 用法・用量:1回1~2滴を、1日3~5回点眼
溶解後冷所(冷蔵庫など)に遮光保存し、3週間以内に使い切る。 - 副作用: まれに、眼の刺激感やかゆみ、充血など。
- タチオン点眼用2%(グルタチオン)
- 現在、販売中止中。1日3~5回
- 現在、販売中止中。1日3~5回
- カタリン、カタリンK、ピレノキシン(ピレノキシン)
いかがでしたか?
白内障をザっと理解できましたでしょうか。
次回は「緑内障」を特集します。
一緒に薬局復帰を目指しましょう!