今回は「薬局復帰おさらい帳」【眼科編7】です。
「疲れ目」や「手術前後の痛み」等で処方される薬と、感染症(はやり目)の対処法に焦点を当てます。
「ビタミン点眼剤」「NSAIDS点眼剤」と、感染症(はやり目)の対処法・服薬指導のコツ
これらのテーマは、患者さんからの質問が多く、薬剤師の腕の見せ所となる分野です。
現場で自信を持って対応するための実践的な知識を復習しましょう!
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復習を始める前に!最短で復帰するための行動プラン
眼科の門前薬局に応募は済ませましたか?
最短で復職を果たすには、「期限」を設定することが大切です。
まずは、気になる眼科門前薬局の求人に応募し、面接日を1〜2週間後に設定しましょう。
このゴール設定が、あなたのやる気をキープさせ、効率よく学べるようにしてくれますよ。
まだ応募をしていないなら、この勢いで気になる求人に応募してみましょう。
「疲れ目」の主役!ビタミン点眼剤の目的と指導のコツ
ビタミン点眼剤が処方されている場合、その目的はこちらです。
- 目の疲れを和らげる→視神経や、ピント調節機能を担う毛様体筋の働きを助ける
- 傷の治りを助ける→代謝を活性化し、角膜や結膜の組織修復を助ける
具体的には、眼精疲労・手術後の回復期・角膜炎・結膜炎などで処方されます。
1つだけなので覚えてしまいましょう。
- サンコバ、ソフティア(シアノコバラミン:VB12)
- 適応:調節性眼精疲労における微動調節の改善
- 1日3~5回
- 薬液の色は赤色なので、必ず説明する
10年前はそこそこ目にした以下の2種は、現在は販売中止(FAD原薬製造中止のため)です!
- ビタミンB2製剤(FAD、フラビタン)
- ビタミンB2&コンドロイチン硫酸Naのムコファジン点眼液
ビタミン剤は覚えるのが簡単になりましたね。
わざわざ特集する必要はなかったかもしれません。
非ステロイド性抗炎症点眼薬(NSAIDs)
アレルギーや術後の炎症に使われます。
各薬剤の特徴
- 二フラン、プロラノン(プラノプロフェン)
- 最も汎用されている(アレルギー性結膜炎、花粉症、術後炎症など)
- 1日4回。
- 開封後遮光→添付の薬袋に入れて保存するよう伝える
- 点眼時に一過性の刺激感
- ブロナック(ブロムフェナクNa)
- 角膜移行性が高く、作用が強い。
- 1日2回
- 副作用(重篤): 角膜障害のリスクが特に報告されている
- 接触性皮膚炎
- 痛みがひどくなったり、まぶしい、見えにくいなどがあれば、すぐに中止し医師へ連絡するよう伝える
- ジクロード(ジクロフェナクNa)
- 国内で初めて開発されたNSAIDS点眼
- 白内障手術前後で使われる
- 術前:1日4回(3時間前・2時間前・1時間前・30分前)
- 術後:1日3回
- まれに角膜障害のリスクがある
- 遮光、10度以下保存
- ネバナック懸濁性点眼液(ネパフェナク)
- 内眼部(水晶体、虹彩、毛様体、房水など)手術前後
- 手術前日より1日3回
- 手術日は術前3回、術後1回
- 用事よく振り混ぜてから点眼
- まれに角膜障害のリスクがある
服薬指導のポイント
重篤な副作用が起こる場合や、併用に注意が必要な場合があるので確認しましょう。
角膜障害のリスクと伝え方(最重要)
ブロナックやネバナックなど、角膜移行性が高い製剤では、ごくまれに角膜の修復遅延や融解などの重篤な角膜障害が報告されています。
- 伝え方:
- 添付文書上の表現だと強すぎると思うので、私は以下のようにマイルドしてます。
「ごくまれにお薬が合わないことがあります。」
「もし、以前よりも目の痛みが強くなった、しみる症状が続いている、まぶしいように感じたら、使用を中止して先生にご連絡ください。」
- 添付文書上の表現だと強すぎると思うので、私は以下のようにマイルドしてます。
- 特に高齢者、コンタクトレンズ使用者、ドライアイ患者、糖尿病患者の長期使用には注意
2. アレルギー反応
まれに、使用後に発疹、じんましん、息苦しさなどの全身症状が出ることがあります。
- 喘息の既往歴がある患者さんには特に注意。
- 「まれにお薬が合わないと発疹、じんましん、息苦しさなどがでることがあります。」
- 「ごくまれになので心配はいりません。そんな時は我慢しないで、すぐ先生に相談してくださいね」
とは言え、ちょっとリスクを強調しすぎかもしれないですね。
「新しいお薬が出ています。もし体に合わずに、症状がひどくなったり発疹がでたり、他に何か今までと違うと気になることがありましたら我慢しないで医師に相談してくださいね。」
私はこのくらいでさらりと言ってます。う~ん…これでも言い過ぎかも?
副作用の話は永遠に悩みますね。
3. 併用注意
- 他のNSAIDs(内服薬含む)やステロイド薬と併用している場合、副作用のリスクが高まる可能性があるため、必ず確認を徹底します。
- ネバナックの併用注意(併用薬の作用増強)
- ヒダントイン系抗てんかん薬(フェニトイン)
- アレビアチン
- ヒダントール
- アクセノン末
- クマリン系抗凝固剤(ワルファリン)
- サルファ剤(スルファメトキサゾール)
- バクタ、バクトラミン
- SU剤
- アマリール(グリメピリド)
- グリミクロン(グリクラジド)
- オイグルコン、ダオニール(グリベンクラミド)他
- ヒダントイン系抗てんかん薬(フェニトイン)
感染拡大防止が重要!「はやり目」など流行性疾患の服薬指導
「流行性角結膜炎(はやり目)」は、保育施設や学校のことでよく質問を受けます。
眼科編第一回の疾患ランキング10位には入りませんでしたが、この機会にざっと復習しましょう。
流行性角結膜炎(はやり目)病態と治療指針
- 非常に感染力が強いウイルス性の眼感染症。
- 原因:アデノウイルス
- 特効薬はないので対症療法
- 潜伏期間:感染から約1週間程度(5~14日)
- 症状:
- 片眼から発症し、数日以内にもう片方の眼にも広がる。
- 初期:眼の充血、強い異物感(ゴロゴロ感)、大量の眼脂(めやに)、流涙(涙が出る)、まぶたの腫れ
- ピーク:結膜に偽膜、耳前リンパ節(耳の前のリンパ節)の腫れや圧痛
- 重症:角膜病変(発症から1~2週後)→視力低下のおそれ
- 治療:対症療法
- ステロイド点眼→素早く炎症を抑え角膜の濁りを防ぐ
- 抗菌点眼→最近による2次感染を防ぐ
- 接触感染(涙やめやにに触れた手や、タオルなどを介した感染)で拡大
- 登校・登園に制限がある(学校保健法)
服薬指導のポイント
- 原因ウイルスを退治する薬はない
- 炎症を抑えて角膜を守るための薬と、他の細菌の感染を防ぐ薬、と私は説明してます。
- 感染の拡大防止が大切
- 手洗い(流水と石鹸でていねいに)
- タオルの共用禁止
- 入浴は最後に
- 出席停止:医師の許可が出るまで、学校や仕事は一定期間休む必要があること(出席停止)
- 症状のピークは発症から1週間目くらい、その後数日かけて治っていく印象です
- 登園登校できる目安→目やに、涙、異物感、充血がなくなってから2日経過くらい?
- 登園許可証、登校許可証の提出を求められるケースが多い
- 園や学校によって対応が違うので、それぞれ確認が必要
大人には法律上の明確な規定はありません。
しかし感染拡大防止のため、通常1~2週間は出勤を控える必要があります。
が、そんなに休めないってこともありますよね…涙。
とは言え、「誰からうつった」がかなり明確な病気ですので、必ず職場に確認して出来るだけ休みをもぎとって下さいね。
眼科での薬局復帰におすすめの本
面接をクリアして、眼科に復職が決まったら、専門書でさらに詳しい知識を付けましょう。
書籍を使ったおすすめの勉強法は、簡単なものから先に読んでいくことです。
読む順番は
- 一般向けの簡単なもの
- 薬剤師向けの本
- 医師向けの専門書
この順で読んでいくことで、次のように効率的に理解が進みます。
- 患者さんの不安や疑問、分かりやすい表現を知る
- 詳しい薬剤知識と服薬指導のポイントを頭に入れる
- 医師の処方意図や病院での処置について知る
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まとめ
- ビタミン点眼は現在VB12のみ!
- サンコバ、ソフティア(シアノコバラミン:VB12)
- 適応:調節性眼精疲労における微動調節の改善
- 1日3~5回
- 薬液の色は赤色なので、必ず説明する
- NSAIDS点眼
- 二フラン、プロラノン(プラノプロフェン)
- 最も汎用されている(アレルギー性結膜炎、花粉症、術後炎症など)
- 1日4回。
- 開封後遮光→添付の薬袋に入れて保存するよう伝える
- 点眼時に一過性の刺激感
- ブロナック(ブロムフェナクNa)
- 角膜移行性が高く、作用が強い。
- 1日2回
- 副作用(重篤): 角膜障害のリスクが特に報告されている
- 接触性皮膚炎
- ジクロード(ジクロフェナクNa)
- 国内で初めて開発されたNSAIDS点眼
- 白内障手術前後で使われる
- 術前:1日4回(3時間前・2時間前・1時間前・30分前)
- 術後:1日3回
- まれに角膜障害のリスクがある
- 遮光、10度以下保存
- ネバナック懸濁性点眼液(ネパフェナク)
- 内眼部(水晶体、虹彩、毛様体、房水など)手術前後
- 手術前日より1日3回
- 手術日は術前3回、術後1回
- 用事よく振り混ぜてから点眼
- まれに角膜障害のリスクがある
- 角膜障害のリスク(ブロナック、ジクロード、ネバナック)
- 痛みがひどくなったり、まぶしい、見えにくいなどがあれば、すぐに中止し医師へ連絡するよう伝える(ごくまれになので、そんなに心配はいらない)
- 発疹、息苦しさなどまれにアレルギー発症の可能性あり
- 喘息の既往歴チェック
- 併用注意(副作用リスク増)
- 内服のNSAIDS
- ステロイド
- ネバナックの併用注意(併用薬の作用増強)
- ヒダントイン系抗てんかん薬(フェニトイン)
- アレビアチン
- ヒダントール
- アクセノン末
- クマリン系抗凝固剤(ワルファリン)
- サルファ剤(スルファメトキサゾール)
- バクタ、バクトラミン
- SU剤
- アマリール(グリメピリド)
- グリミクロン(グリクラジド)
- オイグルコン、ダオニール(グリベンクラミド)他
- ヒダントイン系抗てんかん薬(フェニトイン)
- 二フラン、プロラノン(プラノプロフェン)
- 流行性角結膜炎(はやり目)
- 非常に感染力が強いウイルス性の眼感染症。
- 原因:アデノウイルス
- 特効薬はないので対症療法
- 潜伏期間:感染から約1週間程度(5~14日)
- 症状:
- 片眼から発症し、数日以内にもう片方の眼にも広がる。
- 初期:眼の充血、強い異物感(ゴロゴロ感)、大量の眼脂(めやに)、流涙(涙が出る)、まぶたの腫れ
- ピーク:結膜に偽膜、耳前リンパ節(耳の前のリンパ節)の腫れや圧痛
- 重症:角膜病変(発症から1~2週後)→視力低下のおそれ
- 治療:対症療法
- ステロイド点眼→素早く炎症を抑え角膜の濁りを防ぐ
- 抗菌点眼→最近による2次感染を防ぐ
- 接触感染(涙やめやにに触れた手や、タオルなどを介した感染)で拡大
- 感染拡大防止
- 手洗い(流水と石鹸でていねいに)
- タオルの共用禁止
- 入浴は最後に
- 出席停止:医師の許可が出るまで、学校や仕事は1~2週間休む必要がある
- 登園許可証、登校許可証の提出を求められるケースが多い
- 症状のピークは発症から1週間目くらい、その後数日かけて治っていく
- 登園登校できる目安→目やに、涙、異物感、充血がなくなってから2日経過くらい?
- 園や学校によって対応が違うので、それぞれ確認が必要
いかがでしたか?
何度も読んで頭に入れれば、眼科門前の薬局だけでなくドラッグストアでも即効で役立ちます。
次回は「眼科編8:点眼剤服薬指導のまとめ」を特集します。
一緒に現場復帰を目指して頑張りましょう!