復職に悩んでいるママ薬剤師さん、こんにちは!
結婚出産育児で10年プラスαのブランクを乗り越え、薬局復帰を果たしたみのりママと申します。
ブランクが長いと復職はかなり不安ですよね。
「そろそろ本格的に復帰したい」と求人情報をチェックし始めていても
「給料も場所も魅力的だけど、皮膚科門前は勤めたことがないから応募に踏み切れない…」
と迷っていませんか?
その気持ち、よくわかります!
この「皮膚科編」第3回では、ここ10年ほどで大きく変わった「ざ瘡(ニキビ)」治療について復習します。
10年前は「アクアチム」や「ダラシン」といった抗菌薬を塗るのが当たり前でしたよね。
実は今はかな~り違うんです!
この記事を読めば、最新のガイドラインに基づいた監査ポイントと、自信を持った服薬指導がマスターできますよ!
- ざ瘡(ニキビ)
今日の学びで、「皮膚科の処方箋が怖くない」状態を一緒に目指しましょう!
この知識があれば、迷っていた求人にも自信を持って応募できるはずです。
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復習を始める前に!最短で復帰するための行動プラン
皮膚科の門前薬局に応募は済ませましたか?
最短で復職を果たすには、「期限」を設定することが大切です。
まずは、気になる皮膚科科門前薬局の求人に応募し、面接日を1〜2週間後に設定しましょう。
このゴール設定が、あなたのやる気をキープさせ、効率よく学べるようにしてくれますよ。
まだ応募をしていないなら、この勢いで気になる求人に応募してみましょう。
【病態】なぜニキビはできる?最新の考え方をおさらい
まずは病態の「4ステップ」をおさらいです。
- 角化異常(毛穴の詰まり):
- 毛穴の出口が硬くなり、塞がる。
- これがニキビの始まり「面皰(めんぽう/コメド)」。
- 今の治療の最重要ターゲットはここです!
- 皮脂の停滞:
- 出口が塞がる。
- 行き場を失った皮脂が溜まる(白ニキビ・黒ニキビ)。
- アクネ菌の増殖:
- 溜まった皮脂をエサに、アクネ菌が爆発的に増える。
- 炎症:
- 菌に対する免疫反応で赤く腫れる(赤ニキビ・黄ニキビ)。
10年前は「3」「4」の菌の増殖と炎症を抑えるだけでした。
今は「1」の段階から治療し、再発を防ぐのが標準だそうです。
いや~今の子は治療薬が色々あってうらやましいですね…!
うちの娘もそろそろ年頃なので、ひどくなる前に皮膚科に連れて行く!絶対!
【治療指針】2023年改訂ガイドラインを3分で理解
では治療指針をざっくり理解しましょう。
日本皮膚科学会の『尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023』では、以下の流れが推奨されています。
- 急性期(赤ニキビがある時):
- 「毛穴の詰まりを取る薬」+「抗菌薬(外用・内服)」を併用し、一気に炎症を叩く。
- 維持療法(ニキビが引いた後):
- 抗菌薬は中止し、「毛穴の詰まりを取る薬」だけを継続して、新しいニキビを作らせない。
「毛穴のつまりを取る薬」の登場と、「良くなっても塗り続ける(維持療法)」という考え方。
ここが10年前と違いますよね。
【処方監査】主要薬剤の徹底比較表(禁忌・用法・相互作用)
現場で処方箋を受け取った際、監査でチェックすべき詳細データをまとめますね。
① 外用薬:新世代のメイン
| 薬剤名 | 主成分 | 用法・用量 | 監査のポイント |
| ディフェリンゲル | アダパレン | 1日1回 就寝前 | 【禁忌】妊婦・妊娠の可能性のある女性。 |
| ベピオ(ゲル・ローション) | 過酸化ベンゾイル(BPO) | 1日1回 | 副作用】 約3%に強いかぶれ。ヒリヒリ感(随伴症状)との見極めが必要。 【相互作用】 他の外用剤との直接的な混合は避ける(酸化作用があるため)。 |
| デュアック配合ゲル | BPO + クリンダマイシン | 1日1回 | 【保管】2〜8℃(冷所)。薬局での在庫管理と患者への説明に注意。 |
| エピデュオ | アダパレン + BPO | 1日1回 就寝前 | 【禁忌】妊婦。最も強力だが副作用も出やすいため、少量開始か確認。 |
| アクアチム ダラシンなど | 抗菌薬 | 1日2回 | 【監査】 単剤で漫然と3ヶ月以上出ていないか?(耐性菌のリスク)。 |
② 内服薬:キレートと光線過敏に注意
| 薬剤名 | 分類 | 用法・用量 | 監査のポイント |
| ミノマイシン | テトラサイクリン系 | 1日100〜200mg 1〜2回 | 【相互作用】 Ca, Mg, Al, Fe(牛乳、制酸剤、鉄剤)とキレート形成。吸収が落ちるため2時間以上空ける。 |
| ビブラマイシン | テトラサイクリン系 | 初日200mg 2日目以降100mg | 【副作用】 光線過敏症。野外活動の有無を確認。また、食道潰瘍防止のため多めの水で服用。 |
| ルリッド | マクロライド系 | 1日300mg 2回 | 【相互作用】 エルゴタミン系製剤(偏頭痛薬)と併用禁忌。 |
※光線過敏症:日光などに対して皮膚が過敏に反応、激しい日焼けのような症状が現れる
→直射日光を避け、外出時は日焼け止めクリームと長袖の着用を徹底する
エルゴタミン系製剤:クリアミンやカフェルゴット※現在は販売停止
【処方パターン】ドクターはこう使い分けている!
処方薬の組み合わせによって、治療目的が分かるようになります。
症状別・薬剤の選択例
| ニキビの状態 | 推奨される処方パターン | ドクターの狙い |
| 白・黒ニキビ(炎症なし) | ディフェリン または ベピオ | 炎症が起きる前に「毛穴の掃除」、ニキビの芽を摘む。 |
| 軽度の赤ニキビ | デュアック または ベピオ + 抗菌薬外用 | 菌を殺し、毛穴の詰まりも同時に解消。 |
| 中等度以上の赤ニキビ | エピデュオ + 抗菌薬内服 | 強力な外用薬と内服で、一気に炎症を沈静化 |
| 良くなった後(維持療法) | ディフェリン または ベピオ | 「ニキビができにくい肌」をキープする。 |
★監査のヒント
- 「デュアック」が選ばれる理由:
- 即効性が高く、抗菌薬が入っているため赤ニキビへの反応が良い。
- 「エピデュオ」が選ばれる理由:
- アダパレンとBPOの両方が入った「最強薬」です。他剤で効果が薄かった場合や、重症例に選ばれます。
- 「抗菌薬(アクアチム等)」が単独で出ている場合:
- 今のガイドラインでは珍しい。
- 副作用(赤み)に極端に弱い患者さんや、一時的な炎症の処置として出されている可能性あり。
【服薬指導】患者さんの挫折を防ぐ「3ステップ」指導術
最新のニキビ薬では、患者さん判断による中止を避けるため、使用前の副作用の説明が重要になります。
ステップ1:副作用の「予告」と「意味付け」
- この薬は、毛穴の掃除をする過程で、8割以上の方に赤み、ヒリヒリ、皮剥けが起きる。
- 肌が生まれ変わっているサインなので、2週間ほどで落ち着くことが多い
- 事前に「赤みやヒリヒリや皮むけは起こるものだ」と伝えておきます。
ステップ2:刺激を最小限にする「塗り方のコツ」
- 保湿が先!:
- 「洗顔 → 保湿剤(ヒルドイド等) → ニキビの薬」の順で膜を作り、刺激を和らげる。
- 最初は「点」で:
- 最初の3日間はニキビの頭にだけ塗り、大丈夫そうなら範囲を広げる。
ステップ3:生活上の注意(BPO製剤の特有事項)
- ベピオ
- デュアック
- エピデュオ
これらの処方では必ず「漂白作用」について説明してください。
「髪の毛や、枕カバー、タオルの色が抜けてしまうことがあります。
白いタオルを使うか、しっかり乾かしてから寝てください」とサラっとお話しましょう。
忘れてない?患者さんに必ずチェックなポイント
- アダパレン系(ディフェリン、エピデュオ):妊婦禁忌!就寝前!
- BPO系(ベピオ、デュアック、エピデュオ):漂白注意!ヒリヒリは予告済み?
- デュアック:冷蔵庫に入れてる?
- テトラサイクリン系内服:牛乳・制酸剤・鉄剤との飲み合わせ
- ビブラマイシン:屋外活動の有無を確認
【生活アドバイス】女性目線で寄り添うポイント
- 洗顔は「泡」が命:
- ゴシゴシ洗いはNG
- 泡をクッションにして優しく洗う
- 「ノンコメドジェニック」:
- 化粧品を選ぶ際は、この表記があるもの(ニキビになりにくいテスト済み)を
- 食事制限を厳しくしすぎない:
- 減らした方がいい食品:スナック菓子、揚げ物、インスタント食品、チョコレート、アイスクリームなど
- 過度な食事制限はストレスにもなるので、出来る範囲で
- 「ビタミンB群を意識して、夜は早く寝て肌を休めましょう」など寄り添いが大切。
- ビタミンB群の食品
- B2:納豆、卵、アーモンド
- B6
- カツオ、マグロ、鶏むね・ささみ、
- バナナ、ニンニク、ブロッコリー
- 白米を玄米や雑穀米に変える
- パンを全粒粉のものにする
- 糖分の多いお菓子やジュースを減らす
皮膚科での薬局復帰におすすめの本
面接をクリアして、皮膚科に復職が決まったら、専門書でさらに詳しい知識を付けましょう。
書籍を使ったおすすめの勉強法は、簡単なものから先に読んでいくことです。
読む順番は
- 一般向けの簡単なもの
- 薬剤師向けの本
- 医師向けの専門書
この順で読んでいくことで、次のように効率的に理解が進みます。
- 患者さんの不安や疑問、分かりやすい表現を知る
- 詳しい薬剤知識と服薬指導のポイントを頭に入れる
- 医師の処方意図や病院での処置について知る
皮膚科に関しては一般向けのおすすめはみつかりませんでした。
薬剤師向けから読み始めましょう。
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まとめ
- 角化異常(毛穴の詰まり):
- 毛穴の出口が硬くなり、塞がる。
- これがニキビの始まり「面皰(めんぽう/コメド)」。
- 今の治療の最重要ターゲットはここです!
- 皮脂の停滞:
- 出口が塞がる。
- 行き場を失った皮脂が溜まる(白ニキビ・黒ニキビ)。
- アクネ菌の増殖:
- 溜まった皮脂をエサに、アクネ菌が爆発的に増える。
- 炎症:
- 菌に対する免疫反応で赤く腫れる(赤ニキビ・黄ニキビ)。
- 急性期(赤ニキビがある時):
- 「毛穴の詰まりを取る薬」+「抗菌薬(外用・内服)」を併用し、一気に炎症を叩く。
- 維持療法(ニキビが引いた後):
- 抗菌薬は中止し、「毛穴の詰まりを取る薬」だけを継続して、新しいニキビを作らせない。
1:外用薬(メイン)
| 薬剤名 | 主成分 | 用法・用量 | 監査のポイント |
| ディフェリンゲル | アダパレン | 1日1回 就寝前 | 【禁忌】妊婦・妊娠の可能性のある女性。 |
| ベピオ(ゲル・ローション) | 過酸化ベンゾイル(BPO) | 1日1回 | 副作用】 約3%に強いかぶれ。ヒリヒリ感(随伴症状)との見極めが必要。 【相互作用】 他の外用剤との直接的な混合は避ける(酸化作用があるため)。 |
| デュアック配合ゲル | BPO + クリンダマイシン | 1日1回 | 【保管】2〜8℃(冷所)。薬局での在庫管理と患者への説明に注意。 |
| エピデュオ | アダパレン + BPO | 1日1回 就寝前 | 【禁忌】妊婦。最も強力だが副作用も出やすいため、少量開始か確認。 |
| アクアチム ダラシンなど | 抗菌薬 | 1日2回 | 【監査】 単剤で漫然と3ヶ月以上出ていないか?(耐性菌のリスク)。 |
2:内服薬
| 薬剤名 | 分類 | 用法・用量 | 監査のポイント |
| ミノマイシン | テトラサイクリン系 | 1日100〜200mg 1〜2回 | 【相互作用】 Ca, Mg, Al, Fe(牛乳、制酸剤、鉄剤)とキレート形成。吸収が落ちるため2時間以上空ける。 |
| ビブラマイシン | テトラサイクリン系 | 初日200mg 2日目以降100mg | 【副作用】 光線過敏症。野外活動の有無を確認。また、食道潰瘍防止のため多めの水で服用。 |
| ルリッド | マクロライド系 | 1日300mg 2回 | 【相互作用】 エルゴタミン系製剤(偏頭痛薬)と併用禁忌。 |
| ニキビの状態 | 推奨される処方パターン | ドクターの狙い |
| 白・黒ニキビ(炎症なし) | ディフェリン または ベピオ | 炎症が起きる前に「毛穴の掃除」、ニキビの芽を摘む。 |
| 軽度の赤ニキビ | デュアック または ベピオ + 抗菌薬外用 | 菌を殺し、毛穴の詰まりも同時に解消。 |
| 中等度以上の赤ニキビ | エピデュオ + 抗菌薬内服 | 強力な外用薬と内服で、一気に炎症を沈静化 |
| 良くなった後(維持療法) | ディフェリン または ベピオ | 「ニキビができにくい肌」をキープする。 |
- 「デュアック」が選ばれる理由:
- 即効性が高く、抗菌薬が入っているため赤ニキビへの反応が良い。
- 「エピデュオ」が選ばれる理由:
- アダパレンとBPOの両方が入った「最強薬」です。他剤で効果が薄かった場合や、重症例に選ばれます。
- 「抗菌薬(アクアチム等)」が単独で出ている場合:
- 今のガイドラインでは珍しい。
- 副作用(赤み)に極端に弱い患者さんや、一時的な炎症の処置として出されている可能性あり。
- ディフェリン、ベピオ、デュアック、エピデュオ
- 赤み、ヒリヒリ、皮むけあり→事前に説明
- 妊婦禁忌・就寝前→アダパレン系(ディフェリン、エピデュオ)
- 漂白効果
- ベピオ、デュアック、エピデュオ
- 髪の毛、タオル、寝具などが脱色する可能性あり
- しっかり乾かしてから寝るか、色落ちしてもいい物を使用
- デュアック→冷蔵庫で保管
- テトラサイクリン系(ミノマイシン、ビブラマイシン)
- →牛乳・制酸剤・鉄剤との併用には2時間以上あける
- 服用後2~3時間は乳製品を避ける
- ビブラマイシン
- 光線過敏症注意
- 屋外活動の有無を確認
- 直射日光を避け、外出時は日焼け止めクリームと長袖の着用
- 洗顔は泡で優しく、こすらない
- 化粧品は「ノンコメドジェニック」の表示があるものがおすすめ
- 白米を玄米や雑穀米に変える
- パンを全粒粉のものにする
- 糖分の多いお菓子やジュースを減らす
- 減らした方が良い食品
- スナック菓子
- 揚げ物
- インスタント食品
- チョコレート、アイスクリームなど
- 積極的に取りたい食品
- B2:納豆、卵、アーモンド
- B6:カツオ、マグロ、鶏むね、バナナ、ニンニク、ブロッコリー
いかがでしたか?
10年前と違うところが多いので、なかなか楽しいですよね。
皮膚科は薬の種類がある程度限定されています。
一度パターンを覚えてしまえば、ブランクのあるママ薬剤師さんも短期間で即戦力になれます。
非常に復職向きのおすすめ科目ですよ。
ぜひ自信を持って一歩踏み出してみてください。
次回は「尋常性白癬(水虫)」です。







