薬局復帰おさらい帳:皮膚科5【疥癬(かいせん)】10年で激変!新薬と「全身塗布」の徹底指導ガイド

これだけ暗記

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復職に悩んでいるママ薬剤師さん、こんにちは!

結婚出産育児で10年プラスαのブランクを乗り越え、薬局復帰を果たしたみのりママと申します。

ブランクが長いと復職はかなり不安ですよね。

「そろそろ本格的に復帰したい」と求人情報をチェックし始めていても

「給料も場所も魅力的だけど、皮膚科門前は勤めたことがないから応募に踏み切れない…」

と迷っていませんか?

その気持ち、よくわかります!

この「皮膚科編」第5回では、「疥癬(かいせん)」治療について復習します。

今の疥癬治療は、画期的な内服薬と塗り薬の登場により劇的に進化しています!

高齢者施設などでの集団発生も多く、「周囲への感染対策指導」が重要な疾患です。

この記事では、忙しいママ薬剤師さんが隙間時間でアップデートできるよう、疥癬治療の最前線をまとめました。

この記事を読めば、最新のガイドラインに基づいた監査ポイントと、自信を持った服薬指導がマスターできますよ!

今回で復習すること
  • 疥癬(かいせん)

今日の学びで、「皮膚科の処方箋が怖くない」状態を一緒に目指しましょう!

この知識があれば、迷っていた求人にも自信を持って応募できるはずです。

まとめから見たい方はこちら

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ブランク10年を経て、復帰を果たした子持ち主婦薬剤師。
復職活動で悩んだ経験から、ブランクに悩むママ薬剤師の復帰を応援したい!とブログ開設。
薬局復帰を成功させるために役立つ情報を発信します★
今は飼えないけど、犬が好き。

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復習を始める前に!最短で復帰するための行動プラン

皮膚科の門前薬局に応募は済ませましたか?

最短で復職を果たすには、「期限」を設定することが大切です。

まずは、気になる皮膚科科門前薬局の求人に応募し、面接日を1〜2週間後に設定しましょう。

このゴール設定が、あなたのやる気をキープさせ、効率よく学べるようにしてくれますよ。

まだ応募をしていないなら、この勢いで気になる求人に応募してみましょう。

【病態】ヒゼンダニの潜伏と「激しい痒み」のメカニズム

疥癬は、体長約0.4mmのヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚の角質層に寄生することで起こります。

  • 疥癬トンネル:
    • 雌の成虫が卵を産み付けるため、手のひらや指の間に作る細長い線状の盛り上がりができる。
  • アレルギー反応:
    • ダニの排泄物や死骸に対するアレルギー反応
    • 夜間に眠れないほどの激しい痒みが生じます。
  • 通常疥癬 vs 角化型(ノルウェー)疥癬:
    • 通常:
      • ダニ数〜数十匹。感染力はそれほど強くない。
    • 角化型:
      • ダニ数100万〜数千万匹
      • 感染力が極めて強く、落屑(フケ)が飛ぶだけで周囲にうつる。

【治療指針】内服と外用の「二段構え」

日本皮膚科学会の『疥癬診療ガイドライン』では、以下の薬剤が推奨されています。

  • 第1選択: 内服のイベルメクチン、または外用のフェノトリン
  • 併用: 重症例(角化型)では内服と外用を併用し、徹底的に駆除します。

【薬剤解説】用法用量・相互作用・注意事項

① イベルメクチン(商品名:ストロメクトール)

10年前は承認されたばかりだったこの内服薬が、現在の主流です。

項目詳細監査のポイント
用法・用量体重1kgあたり200μgを1回投与。
1週間後に再評価。
空腹時服用が原則(食後だと吸収が上がりすぎる)。
体重別の用量表を確認!
副作用肝機能異常、一過性の痒みの増悪。
意識障害の起こる可能性あり
駆除が始まると死骸への反応で一時的に痒みが強くなることを伝える。
自動車の自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意
相互作用特になし比較的安全だが、高齢者の腎・肝機能に留意。

② フェノトリン(商品名:スミスリンローション)

2014年に登場した、使い勝手の良い外用薬です。

項目詳細監査・指導のポイント
用法・用量首から下の全身に塗布
12時間以上経過後に洗い流す。
1週間間隔で2回使用。
「痒いところだけ」は絶対にNG。
全身に。
爪の間、おへそ、足の指の間まで。

【監査の要】イベルメクチン(ストロメクトール)体重別用量表

イベルメクチンは、体重1kgあたり約200μg(マイクログラム)を1回投与するのが標準です。

現場で処方箋を受け取ったら、以下の表と患者さんの体重(お薬手帳や聞き取り)を照らし合わせて、錠数が適切か必ず確認しましょう。

1000μg=1mg

患者の体重ストロメクトール錠3mg(通常量)合計用量(mg)
15kg ~ 24kg1 錠3 mg
25kg ~ 35kg2 錠6 mg
36kg ~ 50kg3 錠9 mg
51kg ~ 65kg4 錠12 mg
66kg ~ 79kg5 錠15 mg
80kg 以上約 200μg/kg(例:90kgなら6錠)18 mg 〜

(参考:マルホ株式会社「ストロメクトール錠」添付文書 / 日本皮膚科学会「疥癬診療ガイドライン」)

監査・服薬指導の重要チェック項目

  1. 「15kg未満」の小児への投与
    • 体重15kg未満の小児に対する安全性は確立されていません。
    • 処方されている場合は、医師が判断した「適応外使用」の可能性がある
    • 必要に応じて疑義照会や慎重な経過観察のフォローが必要。
  2. 服用タイミングは「空腹時」
    • 高脂肪食の後に服用すると血中濃度が大幅に上昇し、副作用(意識障害等)のリスクが高まる。
    • 必ず「食後2時間以上あけた空腹時」に、コップ一杯の水で服用するよう徹底して伝えましょう。
  3. 高齢者への配慮
    • 高齢者は腎機能や肝機能が低下していることが多いため、副作用が出やすい
    • 投与後のふらつきや肝機能値の変化に注意するよう、手帳などでフォロー。
  4. 「1週間後」の再評価
    • 通常は1回の服用で効果があるが、ダニの卵には効かない。
    • 症状の改善が不十分な場合は1週間後にもう一度服用することがある。
    • 処方箋が「1回分」なのか「1週間隔で2回分」なのか、医師の治療方針を確認。
  5. 意識障害の起こる可能性あり
    • 自動車の自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意

薬剤師のワンポイント:なぜ「体重」を聞くのが大事?

「体重を教えたくない」と、嫌がる患者さんもいらっしゃいますよね。

イベルメクチンは「少なすぎれば効かず、多すぎれば副作用のリスクがある」非常にデリケートな薬です。

「このお薬は、患者さんの今の体重に合わせてピッタリの量を決める必要があるんです」

前置きとして安全性のために必要であることをお伝えしてから、聞きましょう。

もしくは紙に記入してもらえば、さらに抵抗がなく教えて頂けますよ。

【医師の目線】なぜこの薬を選ぶのか?

  • 内服(イベルメクチン)を選ぶ理由:
    • 塗り残しのリスクがない
    • 高齢者施設や、自分で全身に薬を塗るのが難しい患者さんに。
  • 外用(フェノトリン)を選ぶ理由:
    • 内服ができない妊婦、授乳婦、小児(体重15kg未満)に。
    • ダニの卵には内服が効きにくいため、卵が孵化するタイミングに合わせて2回使用

【服薬指導】失敗しない「全身塗布」の極意

薬剤師が最も強調すべきは「塗布範囲」です。

  • 指導例: 「痒いところだけ塗っても、ダニは薬のない場所へ逃げてしまいます。首から下の全皮膚、特にお尻の割れ目や足の指の間、爪の間まで、塗り絵を塗りつぶすように丁寧に塗ってください。」
  • 痒みの持続: 「ダニが死んだ後も、アレルギーで痒みだけ数週間残ることがあります。治っていないわけではないので、処方された痒み止め(抗ヒスタミン薬等)で様子を見ましょう。」

【生活アドバイス】家族を守る「50度」の魔法

  • 熱に弱い: ヒゼンダニは50度以上で10分間加熱すると死滅します。
  • 洗濯: 衣類や寝具は、洗濯前に熱湯に浸けるか、乾燥機にかけるのが最も効果的。
  • 隔離: 通常疥癬なら過度な隔離は不要ですが、タオルや寝具の共有は避けましょう。

【マメ知識】角化型疥癬の「超・厳重」対策ガイド

角化型疥癬は、全身に数百万匹のダニが寄生しており、剥がれ落ちた皮膚(垢)の中に生きたダニが大量に含まれているのが最大の特徴です。

病院・施設での「隔離」のポイント

通常疥癬では個室隔離は不要とされることが多いですが、角化型は「個室隔離」が原則です。

  • 個室管理: 可能な限り個室へ。ドアの取っ手や手すりを介して感染するため、入室制限を行います。
  • 予防着(PPE)の徹底: 入室する際は、使い捨てのガウン、手袋、キャップ、マスクを着用します。
  • 「動線」を分ける: 角化型患者の診察やケアは、その日の最後に行うなど、他の患者との接触を物理的に避けます。
  • 解除のタイミング: 治療を開始し、鏡検(顕微鏡検査)でダニが消失し、落屑(フケ)が収まるまで継続します。

家庭での「二次感染」を防ぐ工夫

もし患者さんが自宅療養される場合、ご家族(特にケアをするママ世代)へ伝えるべきポイントです。

  • 「掃除機」が最強の武器:
    • 角化型の場合、ダニはフケと一緒に床に落ちる。
    • 毎日、部屋の隅々まで掃除機をかけることが、殺虫剤を撒くよりも重要。
    • 掃除機の紙パックはこまめに捨てる。
  • 衣類・寝具の「50度」処理:
    • ダニは50℃で10分以上加熱すると死滅します。
    • 洗濯前に50℃以上のお湯に10分浸けるか、衣類乾燥機をしっかりかける。
  • 布団のケア:
    • 天日干しだけではダニは逃げるだけで死にません。
    • 布団乾燥機(高熱モード)を使用するか、ビニール袋に密閉して数日間放置(ダニは人の肌から離れると数日で餓死します)する。

「殺虫剤(スミスリンパウダーなど)」の考え方

10年前は「とにかくスプレーやパウダーで殺虫!」という風潮もありましたが、現在は少し考え方が変わっています。

  • 環境への散布は最小限に:
    • 薬剤を部屋中に撒き散らすよりも、「こまめな掃除(物理的除去)」と「熱処理(50℃)」の方が、人体への安全面からも推奨されています。
  • 直接触れない:
    • 患者さんが使った椅子やベッドは、アルコール消毒ではなく、拭き掃除のあとに数日使わないようにする(放置する)だけでダニは死滅。

薬剤師からの「一言アドバイス」のコツ

不安がるご家族や施設のスタッフさんには、こう伝えてください。

「角化型は確かに感染力が強いですが、『熱』と『乾燥』、そして『こまめな掃除』という弱点があります。化学薬品に頼りすぎるより、毎日の掃除機が一番の予防になりますよ。」


現場で使える「比較」クイックメモ

項目通常疥癬角化型(ノルウェー)疥癬
ダニの数数匹~数十匹数百万匹(超・高感染力)
隔離不要(接触を避ければOK)必須(個室隔離)
予防着直接触れる時のみ手袋ガウン、手袋、キャップを着用
洗濯・掃除通常通りで概ねOK熱処理(50℃)+ 毎日掃除機

皮膚科での薬局復帰におすすめの本

面接をクリアして、皮膚科に復職が決まったら、専門書でさらに詳しい知識を付けましょう。

書籍を使ったおすすめの勉強法は、簡単なものから先に読んでいくことです。

読む順番は

  1. 一般向けの簡単なもの
  2. 薬剤師向けの本
  3. 医師向けの専門書

この順で読んでいくことで、次のように効率的に理解が進みます。

  1. 患者さんの不安や疑問、分かりやすい表現を知る
  2. 詳しい薬剤知識と服薬指導のポイントを頭に入れる
  3. 医師の処方意図や病院での処置について知る

皮膚科に関しては一般向けのおすすめはみつかりませんでした。

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まとめ

疥癬(かいせん)治療・服薬指導の重要ポイント

1. この10年でアップデートされた「新常識」

  • 飲み薬(イベルメクチン)が主流に:10年前は承認直後だったストロメクトールが、現在は第一選択として定着しています。
  • 塗り薬(フェノトリン)の登場:2014年に承認されたスミスリンローションにより、安全かつ効果的な外用治療が可能になりました。

2. 処方監査で「ヒヤリ」を防ぐチェック項目

  • イベルメクチンは「空腹時」服用:食後に飲むと吸収率が上がりすぎてしまうため、必ず**「空腹時(食後2時間以上)」**の指示を確認してください。
  • 体重別用量の確認:イベルメクチンは体重によって「〇錠」という用量が決まっています。体重の聞き取りと用量表の照らし合わせは必須です。
  • フェノトリンの塗布回数:通常、1週間間隔で計2回行います。1回きりになっていないか確認を。

3. 指導の質を上げる「伝え方」のコツ

  • 「首から下、全部」塗る:フェノトリン外用の場合、痒いところだけでなく、爪の間、おへそ、足の指の間まで1ミリの隙間なく塗るよう伝えます。
  • 「痒みはすぐには消えない」:ダニが死んだ後も、死骸へのアレルギー反応で数週間痒みが続くことがあります。「効いていない」と自己判断させないことが大切です。

4. 家族・施設での感染対策

  • 「50度で10分」の熱消毒:衣類や寝具は乾燥機や熱湯消毒が有効です。
  • 角化型(ノルウェー疥癬)は別格:万が一「角化型」の疑いがある場合は、感染力が桁違いなため、施設や家族内での厳重な隔離指導が必要です。

いかがでしたか?

疥癬は頻繁に処方せんがやってこないものの、薬剤服用と感染対策の指導がかなり重要な疾患です。

少しずつでもこのように復習を積み重ねていけば、自信をもって皮膚科の門前薬局で働けますよ。

次回は、疥癬と同じく、うつる疾患として注意が必要な「とびひ」について復習します。

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