「え、アドソルビンが販売中止!?…じゃあ、今の下痢止めは何を出すの?」
こんにちは、みのりママです。
小児科門前に復帰して、「かぜ」の次に避けて通れないのが「嘔吐・下痢(感染性胃腸炎)」の処方箋です。
10年前なら当たり前だった「下痢止めでしっかり止める」「まずは絶食」という常識。
実は今、ガイドラインの改訂で大きくアップデートされているのを知っていますか?
「昔の知識のまま、お母さんに古いアドバイスをしてしまったら……」
「もしナウゼリンの計算ミスや、併用禁忌を見逃してしまったら……」
今回の【小児科編3】では、そんな不安を解消するために実戦形式でまとめました!
- 胃腸炎の病態: ノロ・ロタ・アデノの最新トレンド
- 治療の常識: なぜ「下痢止め」は消え、「食事制限」はなくなったのか?
- 監査のツボ: ナウゼリンの計算ミスを防ぐ「仕組み」とQT延長チェック
- 服薬指導: 坐剤のトラブル対応と、家族全滅を防ぐ「ハイター術」
育児経験があるからこそ見える、ママたちの不安。
最新のエビデンスを味方につけて、自信を持って「お大事に」と言える一歩を、一緒に踏み出しましょう!
復習を始める前に!最短で復帰するための行動プラン
「小児科の門前薬局」への応募、もう済ませましたか?
「まだ何も思い出せていないのに、応募なんて無理!」と思うかもしれません。
でも、最短で復職を果たす秘訣は、勉強よりも先に「期限」を決めてしまうことなんです。
特に小児科は、ママ薬剤師さんの経験が活かせるため、条件の良い求人はすぐに埋まってしまうことも。
まずは、気になる小児科門前の求人をチェックして、面接日を1〜2週間後に設定してしまいましょう。
「面接までに、あの疾患だけはおさらいしなきゃ!」という適度なプレッシャーこそが、ブランク10年の重い腰を上げ、家事の合間のスキマ時間を「集中時間」に変えてくれます。
「準備ができたら」ではなく、「ゴールを決めてから」動く。
この勢いで、まずは気になる求人に応募してみませんか?

「ブランクOKって書いてあるけど、私は大丈夫かな?」
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感染性胃腸炎の病態:10年前との最大の違いは「ワクチン」
体感として小児科クリニックにやってくる「嘔吐・下痢」の9割以上はウイルス性です。
ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスが原因となることが多いです。
症状としては、嘔吐→下痢と出ることが多く。発熱や頭痛、腹痛を伴うこともあります。
ウイルス性胃腸炎の病態比較(症状と特徴)
| 項目 | ノロウイルス | ロタウイルス | アデノウイルス(腸管型) |
| 流行時期 | 冬(11月〜2月) | 春(3月〜5月) | 通年(夏にやや多い) |
| 嘔吐 | 非常に激しい(突然始まる) 1~3日間続く | 比較的強い | 軽度〜中等度 |
| 下痢 | 水様便、透明 短期間 | 米のとぎ汁様(白色便) 酸っぱい匂い | 水様便 |
| 発熱 | 1〜2日程度(軽度) ほとんど見られない | 高熱が出やすい 熱→胃腸症状 | 軽度 |
| 罹患期間 | 短い(2〜3日) 潜伏期間1~2日 | 長め(3日〜1週間強) 潜伏期間2~4日 | 長め(1〜2週間) 潜伏期間は約3~10日 |
| 特徴・備考 | 感染力が最強。大人もうつる。 回復後も便中ウイルス排出1週間~1か月 | ワクチンで重症化が激減! | 下痢の期間が長い 腹痛は強い |

突然の激しい嘔吐ならノロ、白っぽい下痢ならロタ、下痢が長引くならアデノ。
こう覚えておくと、ママからの相談にも焦らず対応できますよ!
10年前との最大の違い:ロタの定期接種化
上記の表で「ロタウイルス=重症化が激減」と書きましたが、これこそが10年前の現場を知る人が一番驚くポイントです。
実はロタウイルスワクチンは、2020年10月から定期接種(原則無料)になっています。(うちの子の時は有料だった…残念)
厚生労働省や日本小児科学会の報告でも、定期接種化以降、小児科への「ロタによる胃腸炎入院」の件数は劇的に減少した(8割弱減)とされています。
昔のように『米のとぎ汁のような白い下痢でぐったりして即点滴・入院』という重症パターンは、今の現場では本当に見かける機会が減りました。
突然の激しい嘔吐ならノロ、白っぽい下痢ならロタ、下痢が長引くならアデノ。
この基本を押さえつつ、時代の変化(ワクチン効果)も知っておくと、ママからの相談にも焦らず深みのある対応ができますよ!
治療指針:現在の小児科スタンダード
現在の小児科における胃腸炎治療は、「脱水予防」と「ウイルスの排出」が最優先。
お薬はそのサポート役という考え方が主流です。
① 薬剤の考え方:下痢止めは「使わない」のが基本
現在は、止痢剤(下痢止め)は原則として処方されません。
② 治療の柱:経口補水療法(ORT)
点滴よりも、まず「経口補水液(OS-1など)を口から飲むこと」が第一選択です。
③ 生活指導のアップデート:早期の食事再開
水分が摂れるようになった後の食事指導も、最新のガイドライン(日本小児科学会など)では以下のように推奨されています。
主な薬剤の解説:ウイルス性胃腸炎でよく見る薬
小児科の胃腸炎で処方されるお薬は、症状を和らげる「サポート役」です。
| 症状分類 | 成分名(商品名) | 1日標準用量 | 特徴(10年前との違い) |
| 吐き気止め | ドンペリドン (ナウゼリンドライシロップ1%など) | 1日1.0〜2.0mg/kg 分3食前 ※1日30㎎まで ※6歳以上の1日最高用量は1.0mg/kg | 現在の小児の嘔吐の第一選択薬。 GE(ドンペリドン)の普及。 禁忌:消化管出血、穿孔、機械的閉塞 プロラクチン分泌性下垂体腫瘍 の患者 副作用:錐体外路症状(手の震え、こわばり)、眠気、めまい、ふらつき ※小児では稀。発生した場合は中止 相互作用: 精神神経用剤(副反応増強) ジギタリス製剤 抗コリン剤・制酸剤(効果減弱) CYP3A4阻害剤 ※3才以下の乳幼児には7日以上の連用を避ける |
| 吐き気止め(坐剤) | ドンペリドン (ナウゼリン坐剤) | 3才未満:1回10mg 3才以上:1回30mg 1日2~3回 成人用は60㎎ | 禁忌:同上 相互作用: 精神神経用剤(副反応増強) ジギタリス製剤 抗コリン剤(効果減弱) CYP3A4阻害剤 他の坐剤併用時は順番注意。 なるべく排便後に。 水溶性基材 |
| 整腸剤 | 宮入菌(酪酸菌) ミヤBM細粒 | 成人1日1.5〜3g 分3 【1日量例】 ~6か月:~0.5g 1~3歳:0.75g~1.0g 3~6歳:1.0~1.2g 6~8歳:1.2~1.5g 8~10歳:1.5~2.0g | 芽胞形成菌。 抗菌薬の影響を受けにくい。 抗生剤併用時も通常時も使用 禁忌:なし |
| 整腸剤 | 耐性乳酸菌 ビオフェルミンR散 ラックビーR散 レベニン散 | 成人1日3g分3 【例】 1歳未満:1.0g/日 1〜7歳:1.5g/日 8歳以上:2.0g/日 | 抗生剤が出ている時の定番。 禁忌:なし |
| 整腸剤 | ビフィズス菌 ラックビー微粒N ビオフェルミン散など | 通常成人1日3〜6g 分3 (年齢体重で適宜減量) ※小児科では 1日1.0〜3.0g付近での処方が多い。 | 抗生剤を併用しない時に使用。 禁忌: |
ウイルス性胃腸炎の処方薬一覧

「あれ?アドソルビンとかタンナルビンは?」
と思った方、私と同世代ですね!
実はアドソルビンは2024年に販売中止になっています(ブランクあるとこういうのばかり…泣)
またタンナルビンについても現在は胃腸炎ではほとんど使われません。
これは小児の胃腸炎のガイドラインの改定で「推奨する根拠は乏しい」
「下痢止めは使わない」「経口補水療法(ORS)が基本」とされたからです。
【予備知識】細菌性胃腸炎(血便など)で使われる抗生剤
もし処方箋に「整腸剤+抗生剤」が入っていたら、医師は細菌性(カンピロバクター等)を疑っています。
| 成分名(商品名) | 1日標準用量 | 特徴・監査のポイント |
| ホスホマイシン (ホスミシン) | 40〜120mg/kg 分3~4 | 細菌性胃腸炎でよく選ばれる。 整腸剤が「R」になっているか確認! |
| クラリスロマイシン (クラリス・クラリシッド) | 10〜15mg/kg 分2~3 1日400mgを上限 | カンピロバクター疑いの時に。 非常に苦いので飲ませ方の工夫が必要。 副作用:下痢 |
監査のポイント:ブランク10年の「ヒヤリ」を防ぐ
小児科の監査は「スピード」と「正確さ」の勝負。ブランク明けでもここだけは押さえておきたいポイントを薬剤別にまとめました。
ドンペリドン(ナウゼリン)
- 計算の単位に注意:
- DS 1%は「10mg/g」です。10kgの子に成分10mg(1mg/kg)を出すなら、製剤は1g。
- 「mg(成分)」と「g(製剤)」の計算ミスは、ブランク明けに最も多いヒヤリポイントです。
- ナウゼリンの上限量にも注意
- 1日1.0〜2.0mg/kgの計算は、年齢や体重によって制限があるので注意
- 6歳以上の1日最高用量は1.0mg/kg
- 体重が多くても1日30㎎まで
- 内服薬と座薬の用量の違いに注意:吸収率(バイオアベイラビリティ)が違うため
- 内服はドンペリドンとして1日30㎎まで。
- 坐剤は
- 3歳未満:1回10㎎を1日2~3回
- 3歳以上:1回30㎎を1日2~3回
- 坐剤は年齢と平均体重との違いをみて、適宜調節も可
- 薬局のルールや、門前医院の先生の方針を確認しておく
- 禁忌チェック:ほぼ問題にならない。念のため持病チェックは必須。
- 禁忌は消化管出血、穿孔、機械的閉塞、プロラクチン分泌性下垂体腫瘍
の患者 - 一般の小児科に受診する胃腸炎の小児のうち、ほとんどがあてはまらない。
- 禁忌は消化管出血、穿孔、機械的閉塞、プロラクチン分泌性下垂体腫瘍
- 併用薬チェック:
- 小児科の胃腸炎処方においては、「医師に併用薬や持病を伝えてある」と薬歴に記載すれば大丈夫。
- 理由1(精神薬): フェノチアジン系、ブチロフェノン系、
- 万が一併用があっても、数日間の短期であれば脱水防止が最優先
- 錐体外路系副作用はお母さんをパニックにさせるだけなので、あえて伝えなくてもよし。
- 理由2(ジギタリス製剤):
- ジギタリス製剤(副作用に吐き気あり。血中濃度のモニターが必須)服用中の患者が、吐き気の症状がある際に町の小児科に受診する可能性自体が低い
- 理由3(抗コリン剤):
- 腸重積などのリスクがあるため、そもそも小児にはほぼ処方されない。
- 理由4(制酸剤):
- そもそもガスターやタケプロンは小児に適応がない。
- 適応外で使用中の患者
- ナウゼリンを先に飲ませ、1~2時間あけて制酸剤を服用するパターンがある
- 理由5(CYP3A4阻害剤):
- イトラコナゾール
- 小児に使用されるとしても基本的に外用薬なので、全身作用については心配しなくていい。
- エリスロマイシン
- QT延長の報告があるので、心臓の持病の有無を確認
- 持病について医師に伝えていれば、脱水治療優先と判断し、その旨を薬歴に記載して調剤
- 医師に伝えてなければ、いきなり疑義照会せず薬局長に判断を仰ぐのがベスト
- イトラコナゾール

あくまでも、「併用注意」です。
胃腸炎では脱水予防が大切なので、そのまま調剤するのが基本。
とは言え
「持病と併用薬の確認&医師へ伝えてある事」
はしっかり記録しておきましょう。
医師に伝えてなくても、薬局長にどうすべきか聞けば大丈夫です!
② 整腸剤
- 禁忌、併用禁忌・注意はなし!
- 「R」の有無を確認:
- 胃腸炎でホスミシンなどの抗生剤が出ているのに「Rなし」だったら疑義照会の必要ありかも。まずは薬局長に確認しよう。
- 抗生剤で乳酸菌が死んでしまわないよう、「R」がついているか徹底チェックしましょう。
- レベニンはそのままで耐性乳酸菌製剤
- 抗生剤が出ていないのに、ビオフェルミンRやラックビーR、レベニンが処方
- 保険請求が通らないので、何かの間違い
- 薬局長に判断を仰いで、指示に従えば問題なし。
- 胃腸炎でホスミシンなどの抗生剤が出ているのに「Rなし」だったら疑義照会の必要ありかも。まずは薬局長に確認しよう。
- 10年前との違い:
- 「ラックビー微粒」は「ラックビー微粒N(添加物メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを含まない)」に統一されて、なくなってます(2008年)
- ラックビーRは牛乳アレルギー禁忌がなくなりました(2022 年 6 月改訂)
服薬指導のポイント
お薬を渡す際、ママが家で迷わずに「正しい判断」ができるよう、具体的な物差しを伝えましょう。
併用薬の最終チェック
- ナウゼリン:
- 持病、併用薬の有無確認
- 禁忌:普通に小児科に来ている患者にはほぼ当てはまらない(消化管出血、穿孔、機械的閉塞プロラクチン分泌性下垂体腫瘍)
- 持病・併用薬有の場合
- 特に精神系、心臓系は副作用リスク上昇のため注意
- 医師に伝えたか確認して、その旨を薬歴に記載
- 伝えてなければ、まず薬局長へ相談
- 基本的には、脱水予防の吐き気防止を優先するため、そのまま調剤する
- 持病、併用薬の有無確認
- 市販薬などの吐き気止め、下痢止めを使わないように確認
坐剤の使い方
もし坐剤を使うのが初めてなら、具体的に入れ方も説明しましょう。

私はティッシュがボロボロになるのが嫌&素手もちょっと…だったので、
ラップを指に巻いて入れてました。
手も汚れず、躊躇なく押し込めるし捨てれば終わりなのでおススメです!
坐剤のトラブルと併用ルール
吐き気止めのドンペリドン坐剤は、できるだけ排便後の使用を勧めます。
念のため坐剤が出てしまった時の対処法をお話しておくと、時間外の電話が減るかもしれません。
副作用の伝え方
- ナウゼリン:眠気・ふらつき・錐体外路症状
- 眠気については、食事や水分摂取の前に寝られると困るので、一応触れておく
- 「30分くらいで吐き気は収まりますが、眠くなるかもしれないので、寝ちゃう前にできるだけ食事や水分を取ってくださいね」など
- 錐体外路症状
- 眼球上転、口角偏位、舌の突出、頸部後屈、斜頸など(24~72時間が多い)
- 内服中止や点滴、薬剤等で収まり、後遺症もない
- 具体的に説明すると、怖がって服用してもらえないので、私はあえて説明しないです
- 使用歴の確認・副作用あれば医師に伝えたか確認して、薬歴に記載
- 眠気については、食事や水分摂取の前に寝られると困るので、一応触れておく

新人の頃は副作用説明しすぎて、よく怒られてました(汗)
「黒目が上行って戻らないかも」とか言ったら、怖くて飲みたくなくなりますよね。
まれになったとしても、すぐ回復して後遺症もないので、大丈夫。
吐き気をおさえて脱水予防が何より大切!
ここは「あえて言わない」方向で行きましょう!
水分補給
脱水症状があるか・経口補水液使用の指示の有無を確認してから、患者さんに合わせた説明をしましょう。

★お母さんに伝える「再受診」の目安(脱水のサイン)
「頑張って飲ませていても、以下の症状が出たら我慢せず、早めに再受診してくださいね」と伝えます。
- おしっこ: 半日以上(6〜8時間)出ていない、または色が濃い。
- 泣き声・涙: 泣いても涙が出ない、目がくぼんでいる。
- 口の中: 舌や唇がカラカラに乾いている。
- 様子: 呼びかけてもぼんやり、すぐうとうと、顔色が悪い、ぐったりして動かない。
- 体重: (もし測れるなら)元気な時より3〜5%以上減っている。
なるべく午前中に受診すると、小児科で点滴してもらってよくなることもあります。
我が家は、夕方に駆け込んで入院になりました…泣
【家族全滅を防ぐ】消毒と洗濯の指導ポイント
「感染性胃腸炎」の服薬指導で、お薬の説明と同じくらい大切なのが「家庭内での二次感染防止」のアドバイスです。
胃腸炎の原因となるノロ、ロタ、アデノなどのウイルスは、アルコールが効きにくい「ノンエンベロープウイルス」。
ここでは、薬剤師として「塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)」をどう使いこなしてもらうか、現場でそのまま使える伝え方をまとめます。
消毒液の作り方:ペットボトルで「物差し」を作る
2Lペットボトルを使った具体的な配合を伝えましょう。
おう吐物の処理:ウイルスの「舞い上がり」を防ぐ指導
「ウイルスは乾くと空気中を舞う」と伝え、処理のコツを伝えます。
- 「上から被せる」のが鉄則:
- 0.1%の液で湿らせた新聞紙やキッチンペーパー等で覆い、外側から内側へ静かに拭き取る
- 周囲1~2メートルも外側から内側へ消毒すると良い
- 密閉の重要性:
- 捨てた後のゴミ箱の中で乾いてウイルスが舞い上がらないよう、袋に消毒液をひと振りしてなるべく静かに空気を抜き、口を縛る
- 使用後のおむつなどもしっかりと閉じて同様に処理する
- 出来るだけ、使い捨てマスク、手袋、エプロンを装着して、ウイルスの吸い込みや付着を防ぐ
- 使い捨てエプロンは45リットルごみ袋などで代用可能
- かならず換気する
トイレの盲点:二次感染のホットスポット
意外と知られていないのが、トイレでの飛沫感染です。
- 「蓋を閉めて」流す:
蓋を開けたまま流すと、ウイルスが壁や天井まで飛び散る。 - タオルの共有禁止:
「この時期だけはペーパータオルにするか、家族でタオルを分けてくださいね」と一言添えるだけで、感染率はグッと下がる。 - 使うトイレを分けるのがベスト:患者専用にできるトイレがあれば、1週間〜1か月は使い分けがおすすめ
- できれば、使うトイレを分けられるとベスト
衣類・シーツの処置:廃棄もしくは消毒
選択をする場合は、しっかりと消毒をしてからするように話しましょう。
次亜塩素酸ナトリウムは漂白作用もあるので、色柄ものなら熱湯消毒がおすすめ。
- 次亜塩素酸ナトリウムでの消毒:0.05%以上の濃度が必要
- 嘔吐物や糞便に対するのと同じ0.1%次亜塩素酸ナトリウム液に浸す
- 85℃以上・1分間: 汚物を落とした後に熱湯に浸すのが、最も手軽で確実。
- 廃棄処分:消毒が難しい場合は、ビニール袋に入れ消毒薬をかけてから、しっかり口を縛って廃棄
手指などの消毒
次亜塩素酸ナトリウム消毒液は、皮膚には使えないので手洗いが基本。
- 嘔吐物・糞便処理後はうがい・手洗い必須
- 石鹸で丁寧に、爪の間や手首も入念に洗い流す
- ふき取り後、多めの(滴るくらい)エタノールで消毒をするとさらに良い
指導時の注意点
- 安全管理:
- 「誤飲事故を防ぐために、必ず『消毒液』と大きく書いて、お子さんの手が届かない場所へ置いてくださいね」と念押しを。
- 薄めた溶液でも、目や口に入らないよう注意
- もし粘膜や肌に付着したら、すぐ洗い流す
- 鮮度の話:
- 「作り置きすると効果が落ちるので、その日のうちに使い切ってください」と伝える
- 直射日光の当たらない場所で保存
小児科の勉強におすすめの本
面接をクリアして、小児科に復職が決まったら、専門書でさらに詳しい知識を付けましょう。
書籍を使ったおすすめの勉強法は、簡単なものから先に読んでいくことです。
読む順番は
- 一般向けの簡単なもの
- 薬剤師向けの本
- 医師向けの専門書
この順で読んでいくことで、次のように効率的に理解が進みます。
- 患者さんの不安や疑問、分かりやすい表現を知る
- 詳しい薬剤知識と服薬指導のポイントを頭に入れる
- 医師の処方意図や病院での処置について知る
一般向けの本でおすすめはこちら↓
薬剤師向けの本でおすすめはこちら↓
医師向けの本はこちらがおすすめ↓
参考文献・情報源
この記事を執筆するにあたり、以下の公的機関・学会の最新ガイドラインおよび情報を参照しました。
- 『小児急性胃腸炎診療ガイドライン 2017』(日本小児科学会・日本小児感染症学会など)
- 『小児消化管感染症診療ガイドライン 2024』(日本小児消化管感染症学会)
- 厚生労働省:『ノロウイルスに関するQ&A』
- 日本薬剤師会:『感染性胃腸炎(ノロウイルスなど)の消毒薬の作り方』
- 「教えて!ドクター」プロジェクト(佐久総合病院)
- 東京都感染症情報センター:『感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎)とは』
- PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)
小児科編第3回のまとめ
記事の重要ポイントを、現場でそのまま使えるチェックリスト形式でまとめました。
- 今の胃腸炎治療は「脱水予防」が主役:
- 薬はあくまで水分を摂るためのサポート役。
- 下痢止めは「使わない」のがスタンダード:
- 2017・2024年ガイドラインで、「出し切る」ことが推奨されています。アドソルビンは販売中止(2024年)なので要注意!
- 監査の「ヒヤリ」防止ポイント:
- ナウゼリンの単位: 「mg(成分)」と「g(製剤)」の桁ズレに全集中。10kgの子にDS1%なら1g。
- 禁忌:消化管出血、穿孔、機械的閉塞、プロラクチン分泌性下垂体腫瘍
- 禁忌症があるような患者は、町の小児科の処方ではほぼ見られない
- 持病チェック後、基本はそのまま調剤
- 持病・併用チェック: 併用注意のみなので、基本はそのまま調剤
- 精神系・心臓系の持病・併用薬がないか確認
- あれば、医師に伝えたか確認して薬歴に記録
- 伝えてなければ、薬局長に相談
- 上限量にも注意
- 1日1.0〜2.0mg/kgの計算は、年齢や体重によって制限があるので注意
- 6歳以上の1日最高用量は1.0mg/kg
- 体重が多くても1日30㎎まで
- 内服薬と座薬の用量の違いに注意:吸収率(バイオアベイラビリティ)が違う
- 坐剤は
- 3歳未満:1回10㎎を1日2~3回
- 3歳以上:1回30㎎を1日2~3回
- 年齢と平均体重との違いをみて、適宜調節も可
- 薬局のルールや、門前医院の先生の方針を確認しておく
- 坐剤は
- 経口補水療法(ORT)の伝え方:
- 「5分おきにスプーン1杯」から。4時間ほどで脱水補完
- 一気飲みは嘔吐を誘発するので、様子を見て少しずつ
- OS-1などの指示があれば「脱水あり」と判断し、しっかり飲ませる指導を。
- 坐剤の「鉄則」:
- 順番: 吐き気止めが先!30分あけて次(解熱剤など)。
- ※ダイアップがある時はダイアップが最優先。
- 入れ直し:
- 5~10分で形が残って出たら入れ直しOK。
- ドロドロなら追加しない。
- 家庭での「封じ込め」作戦:
- 消毒:
- 「次亜塩素酸ナトリウム(ハイター等)」をペットボトルで薄めて使う。
- 嘔吐物・糞便→0.1%液
- その他周辺環境→0.02%液
- 必ず換気
- 使い捨て手袋、マスク、エプロン等で二次感染予防
- 衣類・食器等には85℃以上・1分間の熱湯消毒も
- 空気中に舞わないよう消毒薬にぬらしたペーパーなどで覆ってから処理
- ビニール袋に密封して廃棄
- トイレ: 蓋を閉めてから流す。タオルは共有しない。
- 消毒:
- お母さんに伝える「再受診」の目安(脱水のサイン)
- 以下の症状が見られたら、我慢せず早めに再受診するよう念押しする。
- 尿: 半日以上(6〜8時間)出ていない、または色が極端に濃い。
- 涙・目: 泣いても涙が出ない、目がくぼんでいる。
- 口の中: 舌や唇がカラカラに乾いている。
- 様子: 呼びかけにぼんやりする、顔色が悪い、ぐったりして動かない。
- 体重: 元気な時より3〜5%以上減っている。
- 以下の症状が見られたら、我慢せず早めに再受診するよう念押しする。
↓↓ウイルス性胃腸炎の病態比較(症状と特徴)
| 項目 | ノロウイルス | ロタウイルス | アデノウイルス(腸管型) |
| 流行時期 | 冬(11月〜2月) | 春(3月〜5月) | 通年(夏にやや多い) |
| 嘔吐 | 非常に激しい(突然始まる) 1~3日間続く | 比較的強い | 軽度〜中等度 |
| 下痢 | 水様便、透明 短期間 | 米のとぎ汁様(白色便) 酸っぱい匂い | 水様便 |
| 発熱 | 1〜2日程度(軽度) ほとんど見られない | 高熱が出やすい 熱→胃腸症状 | 軽度 |
| 罹患期間 | 短い(2〜3日) 潜伏期間1~2日 | 長め(3日〜1週間強) 潜伏期間2~4日 | 長め(1〜2週間) 潜伏期間は約3~10日 |
| 特徴・備考 | 感染力が最強。大人もうつる。 回復後も便中ウイルス排出1週間~1か月 | ワクチンで重症化が激減! | 下痢の期間が長い 腹痛は強い |
| 症状分類 | 成分名(商品名) | 1日標準用量 | 特徴(10年前との違い) |
| 吐き気止め | ドンペリドン (ナウゼリンドライシロップ1%など) | 1日1.0〜2.0mg/kg 分3食前 ※1日30㎎まで ※6歳以上の1日最高用量は1.0mg/kg | 現在の小児の嘔吐の第一選択薬。 GE(ドンペリドン)の普及。 禁忌:消化管出血、穿孔、機械的閉塞 プロラクチン分泌性下垂体腫瘍 の患者 副作用:錐体外路症状(手の震え、こわばり)、眠気、めまい、ふらつき ※小児では稀。発生した場合は中止 相互作用: 精神神経用剤(副反応増強) ジギタリス製剤 抗コリン剤・制酸剤(効果減弱) CYP3A4阻害剤 ※3才以下の乳幼児には7日以上の連用を避ける |
| 吐き気止め(坐剤) | ドンペリドン (ナウゼリン坐剤) | 3才未満:1回10mg 3才以上:1回30mg 1日2~3回 成人用は60㎎ | 禁忌:同上 相互作用: 精神神経用剤(副反応増強) ジギタリス製剤 抗コリン剤(効果減弱) CYP3A4阻害剤 他の坐剤併用時は順番注意。 なるべく排便後に。 水溶性基材 |
| 整腸剤 | 宮入菌(酪酸菌) ミヤBM細粒 | 成人1日1.5〜3g 分3 【1日量例】 ~6か月:~0.5g 1~3歳:0.75g~1.0g 3~6歳:1.0~1.2g 6~8歳:1.2~1.5g 8~10歳:1.5~2.0g | 芽胞形成菌。 抗菌薬の影響を受けにくい。 抗生剤併用時も通常時も使用 禁忌:なし |
| 整腸剤 | 耐性乳酸菌 ビオフェルミンR散 ラックビーR散 レベニン散 | 成人1日3g分3 【例】 1歳未満:1.0g/日 1〜7歳:1.5g/日 8歳以上:2.0g/日 | 抗生剤が出ている時の定番。 禁忌:なし |
| 整腸剤 | ビフィズス菌 ラックビー微粒N ビオフェルミン散など | 通常成人1日3〜6g 分3 (年齢体重で適宜減量) ※小児科では 1日1.0〜3.0g付近での処方が多い。 | 抗生剤を併用しない時に使用。 禁忌: |
| 成分名(商品名) | 1日標準用量 | 特徴・監査のポイント |
| ホスホマイシン (ホスミシン) | 40〜120mg/kg 分3~4 | 細菌性胃腸炎でよく選ばれる。 整腸剤が「R」になっているか確認! |
| クラリスロマイシン (クラリス・クラリシッド) | 10〜15mg/kg 分2~3 1日400mgを上限 | カンピロバクター疑いの時に。 非常に苦いので飲ませ方の工夫が必要。 副作用:下痢 |
10年もあれば、薬局の常識がガラッと変わるのも当たり前。
最初は『知らないこと』に出会って焦るかもしれませんが、一度アップデートしてしまえば、それはもうあなたの確かな武器になります。
完璧を求めすぎず、まずはこの記事をカンニングペーパー代わりにして、明日からの現場を淡々と、着実にこなしていきましょう!


